車両調達に約61億ドル ― 「買う・直す・保管する」を1本の契約に束ねる仕組み(オシュコシュ・陸軍)
米陸軍が、車両・トレーラー・各種キットの調達に加えて、車両の再生(リファービッシュ)、保管と整備、技術資料一式までを含む契約を オシュコシュ・ディフェンスに発注した。契約額は約61.0億ドル。1本の契約の中で価格の決め方(確定価格と実費償還)が使い分けられている点に、この種の調達の設計が表れている。
契約の基本情報
- 受注者オシュコシュ・ディフェンス
- 契約額$6,104,208,871(約61.04億ドル)
- 軍種陸軍
- 発注機関国防総省
- 発注部局陸軍省
- 契約種別DEFINITIVE CONTRACT
- 履行期間2015-08-25 〜 2025-09-25
- 契約番号(PIID)W56HZV15C0095
契約の概要(原文)
THE CONTRACT INCLUDES FIRM FIXED PRICE (FFP) CONTACT LINE ITEM NUMBERS (CLIN) FOR VEHICLES, TRAILERS, KITS (PACKAGED AND INSTALLED), TEST HARDWARE AND SUPPORT, VEHICLE REFURBISHMENT, SYSTEMS ENGINEERING/ PROGRAM MANAGEMENT (SEPM), STORAGE AND MAINTENANCE OF VEHICLES, VEHICLE REFURBISHMENT, INTEGRATED PRODUCT SUPPORT (IPS), AND A TECHNICAL DATA PACKAGE (TDP). THE CONTRACT ALSO INCLUDES COST PLUS FIXED FEE (CPFF) CLINS FOR SYSTEM TECHNICAL SUPPORT (STS), TOTAL PACKAGE FIELDING (TPF), AND INTERIM CONTRACTOR SUPPORT (ICS). THE CONTRACT CONTAINS PROVISIONS FOR AN ECONOMIC PRICE ADJUSTMENT (EPA) FOR MATERIAL FLUCTUATIONS FOR THE VEHICLES PROCURED IN OPTION PERIODS SIX, SEVEN, AND EIGHT.
要点
- 陸軍が オシュコシュ・ディフェンス に発注。契約額は約61.0億ドル($6,104,208,871・累計)、期間は2015年8月〜2025年9月。
- 対象は車両・トレーラー・キットに加え、車両再生、保管と整備、技術管理(SEPM)、統合製品支援(IPS)、技術データパッケージ(TDP)。
- 価格方式を項目ごとに使い分け=仕様が決まるものは確定価格(FFP)、作業量が読みにくい支援は実費償還+定額報酬(CPFF)。
- オプション期間6・7・8の車両には資材価格の変動に応じた価格調整(EPA)条項がある。
- 本データに記録された支出額は約6億513万ドル。ただし公開データの支出欄は記録が十分でない場合があり、執行率としては読めない。
- 確定価格は受注側が、実費償還+定額報酬は発注側が費用超過のリスクを負い、オプション期間の車両には価格調整条項が付く。
11本の契約に「買う」以外が詰まっている
この契約の概要が長いのは、対象が車両だけではないからである。列挙されているのは、車両とトレーラー、装着するキット、試験用のハードウェア、そして車両の再生、保管と整備、技術管理、統合製品支援、技術データパッケージ——つまり、買う・直す・置いておく・図面を受け取る、が一続きになっている。装備は納入して終わりではなく、使い続けるための体制まで含めて発注されている。
2確定価格と実費償還を使い分ける
もう一つ読み取れるのは、価格の決め方が項目ごとに違うことである。車両やキットのように仕様と数量が決まるものは確定価格(FFP)で、技術支援や部隊への引き渡し支援のように作業量が事前に読みにくいものは実費償還+定額報酬(CPFF)で置かれている。前者は受注側が費用超過のリスクを負い、後者は発注側が負う。
さらに後半のオプション期間で調達する車両には、資材価格の変動を価格に反映する調整条項(EPA)が付いている——長期契約で鋼材などの価格が動くことを前提にした設計である。
3契約額と記録された支出額
契約額は約61.0億ドルで、本データに記録された支出額(outlays)は約6億513万ドルである。ただし公開データの支出欄は、契約の年代や報告経路によって記録が十分でない場合がある。したがってこの2つの数字の比をそのまま執行率と読むことはできない。当サイトでは、記録されている値として併記するにとどめる。
4一本の契約のなかで価格の決め方が分かれる
この契約から読み取れるのは、価格の決め方が項目ごとに違うことです。何を買うかによって、費用が読めるかどうかが変わり、それに応じてリスクを負う側も変わります。
| 価格の決め方 | 対象 | 費用超過のリスクを負う側 |
|---|---|---|
| 確定価格(FFP) | 車両やキットなど、仕様と数量が決まるもの | 受注側 |
| 実費償還+定額報酬(CPFF) | 技術支援や部隊への引き渡し支援など、作業量が事前に読みにくいもの | 発注側 |
| 価格調整条項(EPA) | オプション期間に調達する車両 | 資材価格の変動を価格に反映する |
さらに列挙されているのは、車両とトレーラー、装着するキット、試験用のハードウェア、車両の再生、保管と整備、技術管理、統合製品支援、技術データパッケージ——買う・直す・置いておく・図面を受け取る、が一続きになっています。10年規模の調達が抱えるリスクの配分そのものが、契約の構造として現れています。
なぜ重要か
装備の調達と、その後の整備・保管・技術支援を1本の契約に束ねる形は、受注企業にとって長期の収益基盤になる一方、価格方式ごとにリスクの持ち方が変わる。確定価格の項目が多いほど、資材価格や工数の見積り精度が利益を左右する。公開データで概要の契約項目まで読むと、金額の内訳がどのようなリスク配分でできているかを推し量る手がかりになる。
よくある質問(FAQ)
これは何のデータですか?
契約額は確定額ですか?
FFPとCPFFはどう違うのですか?
EPA条項とは何ですか?
出典(一次情報)
本記事は下記の米国政府公式の支出データに基づく独自整理です。正確・最新の内容は公式をご確認ください。
- USAspending(契約の詳細)
- 契約番号(PIID):W56HZV15C0095