米軍向けと外国向けを同じ契約でまとめて作る ― PAC-3ミサイルの46億ドル契約に現れる対外有償軍事援助
陸軍がロッキード・マーティンに発注した約45億8,306万ドルの契約。説明欄には「FY19/20の米国および対外有償軍事援助(FMS)の所要」と明記されており、米軍向けの調達と外国政府向けの調達が一本の契約にまとめられていることが分かる。
契約の基本情報
- 受注者ロッキード・マーティン
- 契約額$4,583,057,419(約45.83億ドル)
- 軍種陸軍
- 発注機関国防総省
- 発注部局陸軍省
- 契約種別DEFINITIVE CONTRACT
- 履行期間2018-12-21 〜 2027-03-31
- 契約番号(PIID)W31P4Q19C0011
契約の概要(原文)
W31P4Q-19-C-0011 PAC-3 PRODUCTION CONTRACT FOR THE FY19/20 US/FMS REQUIREMENTS, WHICH INCLUDES: MSE&CRI MISSILES, LMKS AND OTHER GROUND SUPPORT FOR PATRIOT/PAC-3 WEAPON.
要点
- 義務付け額は約45億8,306万ドル、受注者はロッキード・マーティン、軍種は陸軍、期間は2018年12月から2027年3月までの約8.3年。
- 説明欄に「FY19/20 US/FMS REQUIREMENTS」とあり、米軍向けと対外有償軍事援助による外国政府向けの所要が一本の契約にまとめられている。
- 対外有償軍事援助は、外国政府が米国政府を通じて装備を購入する仕組みで、米国政府が調達の当事者となる。
- 生産数量が増えることで単価が下がりうる一方、供給の優先順位や納期の調整が国をまたいだ問題になる。
- 2026年9月2日時点で当サイトが保持する防衛契約207件のうち軍種が陸軍のものは40件(海軍77件・国防省全体59件・空軍31件)。
1「US/FMS」という2文字が示すこと
説明欄にある「US/FMS」は、米国自身の所要(US)と、対外有償軍事援助(Foreign Military Sales)による外国政府向けの所要を指します。FMSは、外国政府が米国政府を通じて装備を購入する仕組みで、米国政府がいったん調達の当事者となり、受注企業と契約を結びます。つまりこの契約には、米軍が使う分と、他国が買う分が同居しています。
2まとめて作ることの意味
生産の数量が増えれば、固定費が分散して単価が下がりえます。米国にとっては自国の調達費用を抑える効果があり、購入する側にとっては米軍と同じ生産ラインの製品を入手できます。同時に、外国の購入が米国の生産計画に組み込まれることでもあり、供給の優先順位や納期の調整が国をまたいだ問題になります。
3陸軍の契約という位置
2026年9月2日時点で当サイトが保持する記録では、軍種の欄が陸軍となっているものは40件です。海軍77件と比べると少なく、艦艇のような長期の建造契約が海軍に偏るのに対し、陸軍の調達はミサイルや車両など生産の回転が相対的に速い品目が中心になることが、期間の分布にも表れています。
4説明欄に情報が残っている例
本契約の説明欄には、契約番号・品目・会計年度・調達区分・搭載品の型式まで書かれています。当サイトが扱う防衛契約の記録では、説明欄が内部の符号列や空欄であることが少なくないなか、内容が読み取れる部類にあたります。記録の詳しさは契約ごとに大きくばらつき、金額の大きさとは比例しません。なお
なぜ重要か
米国の防衛調達の記録には、他国向けの需要が混ざって現れる。契約額を米国の国防支出としてそのまま読むと、外国政府が負担する分まで含めて数えることになる。
よくある質問(FAQ)
これは何のデータですか?
対外有償軍事援助(FMS)とは何ですか。
契約額は確定額ですか?
出典(一次情報)
本記事は下記の米国政府公式の支出データに基づく独自整理です。正確・最新の内容は公式をご確認ください。
- USAspending(契約の詳細)
- 契約番号(PIID):W31P4Q19C0011