S. 321 上院法案 第119議会

米国人が中国国内でAIの能力を高めることを刑法で禁じる法案 ― 当サイトが追う法案のなかで最も古く、1年半以上動いていない

米上院 最新の動き 2025年1月29日

S.321「2025年米国の人工知能能力の対中デカップリング法案」は、合衆国法典第18編(刑法)を改正し、米国人が中華人民共和国において人工知能の能力を進展させることを禁じる法案。技術や知的財産の定義、「懸念される中国の事業体」の定義、直接・間接の持分や派生金融商品を通じた「利益」の定義を置く。2025年1月29日に提出されて以来、司法委員会に付託されたままである。

法案の概要(一次情報)

  • 法案番号S. 321
  • 種別上院法案
  • 議会第119議会
  • 最新の議会アクションRead twice and referred to the Committee on the Judiciary.(2025-01-29)

要点

  • S.321は、合衆国法典第18編(刑法)を改正し、米国人が中国において人工知能の能力を進展させることを禁じる法案
  • 「技術または知的財産」を、AIまたは生成AIの能力に寄与するために用いられうるものとして広く定義する。
  • 「利益」の定義に、所有の連鎖を通じた直接・間接の持分に加え、派生金融商品その他の契約上の取り決めも含める。
  • 2025年1月29日に提出されて以来、司法委員会に付託されたままで動いていない。
  • 2026年9月2日時点で当サイトが保持する法案120件のうち94件(78%)が委員会に付託されたままである。

1刑法を改正するという手立て

輸出管理や投資審査は、行政が規則で運用する仕組みです。この法案が取るのはそれとは違う道で、合衆国法典第18編、すなわち刑法を改正して禁止規定そのものを置きます。違反に対して刑事上の責任が及ぶ形にすることで、抑止の重みが変わります。技術の流出を扱う立法としては強い手段にあたります。

2抜け道を塞ぐ定義

  1. 1技術と知的財産人工知能または生成人工知能の能力に寄与するために用いられうる技術・知的財産と広く定義する
  2. 2懸念される中国の事業体刑法に新設される条文で定義する
  3. 3利益①いかなる所有の連鎖を通じてであれ、直接または間接に保有される持分を含む
  4. 4利益②派生金融商品その他の契約上の取り決めとして保有されるものも含む

定義の書き方に、この法案の狙いが表れています。「利益」の定義がとりわけ広く、所有の連鎖を何段挟んでも、また派生金融商品や契約上の取り決めという形を取っても該当するとしています。中間に会社を挟む、あるいは株式を直接持たずに経済的な効果だけを得るといった形での回避を封じる書き方です。

3最も古く、動いていない

提出日2025年1月29日二読を経て司法委員会に付託
2026年9月2日時点で当サイトが保持する法案の最新行動日の範囲2025年1月23日から2026年8月31日本法案は最も古い部類にあたる
同じ時点で委員会に付託されたままのもの94件120件のうち78%

この法案は当サイトが追う記録のなかで最も古い部類に属し、提出から1年半以上、委員会に付託された状態のまま動いていません。法案が提出されること自体は日常的な出来事で、その大半は委員会で止まります。数字がそれを示しており、94件が同じ状態にあります。提出されたという事実は、議論が存在することを示しはしても、実現が近いことを意味しません。

4名称が示す立場

「デカップリング」という語を法案の名称に用いていることは、この法案が部分的な制限ではなく切り離しを志向していることを示しています。法案の名称は法的な効果を持ちませんが、提出者がその法案をどう位置づけているかを最も端的に示す部分でもあります。

なぜ重要か

「利益」の定義が所有の連鎖や派生金融商品にまで及ぶ書き方は、中国関連の事業に関わる企業にとって影響範囲を大きく変えうる。同時に、提出から1年半動いていない事実は、法案の存在と実現の距離を測る目安にもなる。

よくある質問(FAQ)

なぜ刑法を改正するのですか?
輸出管理や投資審査が行政の規則で運用されるのに対し、刑法に禁止規定を置けば違反に刑事上の責任が及びます。抑止の重みが変わる強い手段にあたります。
提出されたということは成立が近いのですか?
いいえ。2026年9月2日時点で当サイトが保持する120件のうち94件(78%)は委員会に付託されたままです。本法案も1年半以上その状態にあります。

出典(一次情報)

出典:Congress.gov(米国議会図書館・連邦立法資料=パブリックドメイン)。リンク先は公式サイトです。

#議会法案#対中#輸出管理#刑法#デカップリング
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