同意なくデータを使われたことを訴えられるようにする法案 ― 学習に使うことも、似た内容を生成することも「利用」に含める
S.2367「人工知能の説明責任と個人データ保護法案」は、明示的な事前の同意なく個人のデータを取得・利用・収集・処理・販売その他の方法で利用することについて、連邦法上の不法行為を新設する法案。生成AIの学習に使うことに加えて、個人のデータを模倣・複製する内容やそこから実質的に派生する内容を生成することも「利用」に含める。
法案の概要(一次情報)
- 法案番号S. 2367
- 種別上院法案
- 議会第119議会
- 最新の議会アクションRead twice and referred to the Committee on the Judiciary.(2025-07-21)
要点
- S.2367は、明示的な事前の同意なく個人のデータを取得・利用・収集・処理・販売その他の方法で利用することについて、連邦法上の不法行為を新設する法案。
- 行政に監督させるのではなく、個人が直接、裁判所に持ち込める権利を作る型にあたる。
- 「利用」には、生成AIシステムの学習に使うことと、その個人に関する対象データを生成することの両方が含まれる。
- 生成の側は、模倣・複製に加えて「実質的にそこから派生する」内容も対象とする。
- 2025年7月21日にホーリー議員とブルーメンソール議員が提出し、司法委員会に付託された。2026年9月2日時点で当サイトが保持する120件のうち94件が同じ段階にある。
1規制ではなく、訴える権利を作る
データの利用をめぐる立法には二つの型があります。行政機関に監督させる型と、個人に訴える権利を与える型です。本法案は後者で、連邦法上の不法行為を新設します。行政の執行体制や予算に左右されず、当事者が直接、裁判所に持ち込めるようになります。その代わり、訴えるかどうかは個人の判断と負担に委ねられます。
2「利用」に何を含めるか
この法案の要は、右側を「利用」に含めた点にあります。学習にデータを使ったかどうかだけを問うのであれば、学習の過程は外から見えにくく、立証が難しくなります。出力の側、すなわちその人のデータを模倣し、複製し、あるいは実質的にそこから派生する内容が生成されたことを捉えるなら、被害を受けた側が目にできるものから出発できます。
3「実質的に派生する」という言葉
条文が「模倣し、複製し、または実質的にそこから派生する」と三段に書いているのは、完全な複製でなくても対象になりうることを示すためです。声や文体、作風のように、そのままの複製ではないが元が分かる形での再現を捉えようとする書き方と読めます。どこまでが派生かという線引きは実際の適用のなかで争われることになりますが、条文の段階でその意図が示されています。
4提出者と段階
提出はホーリー議員とブルーメンソール議員で、所属政党の異なる二人が組んでいます。2025年7月21日に提出され、二読を経て司法委員会に付託されました。2026年9月2日時点で当サイトが保持する法案120件のうち94件(78%)は委員会に付託されたままで、本法案もその段階にあります。同じ時点の記録では、下院提出が70件、上院提出が50件です。
なぜ重要か
生成AIの学習データをめぐる論点を、行政規制ではなく個人の訴権として構成する立法の型。模倣・複製に加えて「実質的に派生する」内容まで対象に含める書き方は、出力の管理をどう設計するかという実務に直結する。
よくある質問(FAQ)
不法行為を新設するとはどういうことですか?
なぜ生成の側も対象にするのですか?
出典(一次情報)
出典:Congress.gov(米国議会図書館・連邦立法資料=パブリックドメイン)。リンク先は公式サイトです。
- Congress.gov(法案ページ・原文)
- S. 2367(第119議会)