S. 2528 上院法案 第119議会

金融サービスAIイノベーション解放法案(S.2528)― 規制当局が期限内に判断しなければ申請は自動承認。同日提出の下院版は1年後に本会議待ちで文言も分岐

米上院 最新の動き 2025年7月29日

金融規制当局にAIイノベーション・ラボを置き、規制対象事業者が特定の規制の適用免除や修正を求めてAI試験プロジェクトを申請できるようにする上院法案。当局が120日以内に判断せず、さらに120日の延長期間も過ぎた場合、申請は自動的に承認されたものとみなされる。

法案の概要(一次情報)

  • 法案番号S. 2528
  • 種別上院法案
  • 議会第119議会
  • 最新の議会アクションRead twice and referred to the Committee on Banking, Housing, and Urban Affairs.(2025-07-29)

要点

  • 各金融規制当局がAIイノベーション・ラボを設置し、規制対象事業者がAI試験プロジェクトを申請できるようにする。
  • 申請書には、免除・修正を求める規制を事業者自身が特定した代替コンプライアンス戦略を添える。
  • 審査は原則120日、必要なら120日延長。延長期間を過ぎても判断がなければ申請は自動的に承認されたものとみなされる。
  • 却下する場合は書面で理由を示し、その通知から30日間は当該試験プロジェクトに関する執行措置を取れない。
  • 同じ日に提出された下院版 H.R.4801 は委員会で修正され、本文の差分は764行に達している。
  • 監督される側が免除してほしい規制と代替案を持ち込み、当局が期限内に判断しなければ申請は自動承認される。

1免除してほしい規制を、申請する側が名指しする

この法案の申請書には、代替コンプライアンス戦略という項目がある。事業者は、免除または修正してほしい規制を自分で特定したうえで、その規制の目的を別の方法でどう満たすかを提案し、なぜその代替手段が事業の運営に不可欠かを説明する。

監督する側が例外を作るのではなく、される側が対象と代替案を持ち込む構造になっている。あわせて、公益に資すること、システミックリスクをもたらさないこと、マネーロンダリング対策やテロ資金供与対策の義務と整合すること、国家安全保障上のリスクがないことの説明も求められる。

2当局が黙っていると承認になる

審査の期限は原則120日で、必要なら120日延長できる。注目すべきは、その延長期間が過ぎても判断が示されなかった場合の扱いである。法案本文は、申請は自動的に承認され効力を持つと定めている。

規制の運用では、判断しないことが実質的な不許可として働く場面がある。この条文はその向きを逆にしていて、当局の不作為が承認に転ぶ。却下する場合も、書面で理由を示し、その通知から30日間は当該試験プロジェクトに関する執行措置を取れないと定めており、判断を先送りしにくい設計になっている。

3同じ日に出た下院版は、1年で別のものになった

対になる下院法案 H.R.4801 は、同じ2025年7月29日にJ・フレンチ・ヒル下院議員(共和・アーカンソー州第2区)が提出した。その後、下院金融サービス委員会での審議を経て、2026年6月24日にユニオン・カレンダー第619号に登載され、本会議での審議を待つ段階にある。

両者の本文を突き合わせると、大きく異なる。上院版が474行、下院版が560行で、差分は764行にのぼる。下院版は委員会で修正されたためである。2026年8月31日時点で当サイトが保持するAI関連法案114件のうち、同じ題名の法案が上下両院にある組は12組あるが、本文まで一致するとは限らない。進んだ側が修正を受けると、同じ題名のまま中身が離れていく。

4例外を作る側と、持ち込む側

規制の例外は通常、監督する側が設計します。この法案の申請書は、その向きを逆にしています。

監督する側が例外を作るされる側が対象と代替案を持ち込む(本法案)
免除の範囲は当局が決める事業者が免除または修正してほしい規制を自分で特定する
当局が判断しなければ不許可のまま期限を過ぎれば申請は自動的に承認され効力を持つ
却下の理由は示されるとは限らない書面で理由を示し、通知から30日間は執行措置を取れない

事業者は、その規制の目的を別の方法でどう満たすかを提案し、なぜその代替手段が事業の運営に不可欠かを説明します。あわせて、公益に資すること、システミックリスクをもたらさないこと、マネーロンダリング対策やテロ資金供与対策の義務と整合すること、国家安全保障上のリスクがないことの説明も求められます。審査の期限は原則120日で、必要なら120日延長できます。

なぜ重要か

規制のサンドボックスは各国にあるが、この法案は当局の不作為が承認に転ぶ点で踏み込んでいる。金融機関の側から見れば、免除を求める規制を自分で特定し、代替手段を設計する能力そのものが申請の質を左右する。対になる法案が同じ日に出ながら1年で文言が離れたことは、題名の一致が内容の一致を意味しないことを示している。

よくある質問(FAQ)

規制が丸ごと免除されるのですか?
いいえ。事業者が特定の規制を名指しし、その目的を別の方法で満たす代替案を示して承認を求める形です。
自動承認は本当に書かれていますか?
はい。120日の延長期間が過ぎても当局が判断を示さない場合、申請は自動的に承認され効力を持つと法案本文に定められています。
下院版とは何が違いますか?
提出日は同じですが、下院版は委員会で修正されており、本文の差分は764行あります。下院版はユニオン・カレンダーに登載され本会議待ちです。

出典(一次情報)

出典:Congress.gov(米国議会図書館・連邦立法資料=パブリックドメイン)。リンク先は公式サイトです。

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