S. 232 上院法案 第119議会

アルゴリズム談合防止法案(S.232)― 同じ市場の2者以上に配布されれば、シャーマン法上の合意があったと推定する。反証には明白かつ説得的な証拠が要る

米上院 最新の動き 2025年1月23日

価格アルゴリズムについて、司法長官やFTCの請求に応じた報告を義務づけ、一定の場合にシャーマン法1条の合意があったと推定する上院法案。推定を覆すには、開発も配布もしていないことに加え、非公開の競合データが使われていたことを知らず知り得なかったことを、明白かつ説得的な証拠で示す必要がある。

法案の概要(一次情報)

  • 法案番号S. 232
  • 種別上院法案
  • 議会第119議会
  • 最新の議会アクションRead twice and referred to the Committee on the Judiciary.(2025-01-23)

要点

  • 価格アルゴリズムについて、司法長官または委員会の請求から30日以内の書面報告を義務づける。
  • 報告には、自律的に価格を決めるか、人の確認があるか、使うデータと収集の過程、価格差別の有無などを含める。
  • 同一または関連する市場で2者以上に配布された場合などに、シャーマン法1条の合意があったと推定する。
  • 推定を覆すには、開発も配布もしていないことに加え、非公開の競合データの使用を知らず知り得なかったことを明白かつ説得的な証拠で示す必要がある。
  • 推定が適用される民事事件では連帯責任の規定も置かれている。
  • 同一または関連する市場の2者以上に配布された事実を起点に合意を推定し、反証には明白かつ説得的な証拠を求める。

1立証の負担を動かす

談合の立証は、合意があったことを示す必要があるため難しいとされる。アルゴリズムを介する場合、人が話し合った証拠が残らないことも多い。この法案は、合意の存在を推定する規定を置くことで、その負担を動かそうとしている。

推定が働くのは、同一または関連する市場で価格や条件を設定・推奨する意図で2者以上にアルゴリズムが配布された場合などである。誰かが話し合ったことではなく、同じ道具が競合の間に配られたという事実が起点になる。

2反証の条件が厳しく設定されている

推定を覆すには二つを満たす必要がある。アルゴリズムを開発も配布もしていないこと、そして非公開の競合データが使われていたことを実際に知らず、合理的にも知り得なかったことである。しかも後者は、明白かつ説得的な証拠という高い水準で示さなければならない。

道具を作った側や配った側には、この反証の道がそもそも開かれていない。使った側も、中身を知らなかったと言うだけでは足りない。推定を置くだけでなく、その覆し方まで細かく設計されている。

3報告義務が中身を開かせる

3条は、司法長官または委員会の請求から30日以内の報告を義務づける。報告に含めるべき事項は具体的で、自律的に価格を決めるのか人の確認があるのか、どんな規則や過程で価格を出すのか、どのデータを使い、それをどこからどれくらいの頻度で集めているのか、そして価格差別を行うのか、までが並ぶ。

外からは見えない仕組みを、請求があれば説明させるという設計である。

2026年9月1日時点で当サイトが保持するAI関連法案114件のうち、解説を付けていない44件を正式題名の冒頭の動詞で分けると、新しく設ける(establish)が11件、義務づける(require)が9件、指示する(direct)が6件、改正する(amend)が6件で、防ぐ(prevent)で始まるのはこの1件だけである。

4立証の負担をどう動かすか

談合の立証は、合意があったことを示す必要があるため難しいとされます。アルゴリズムを介する場合、人が話し合った証拠が残らないことも多くあります。この法案は、そこに推定を置きます。

  1. 1通常の談合の立証合意があったことを示す必要がある
  2. 2アルゴリズムを介する場合人が話し合った証拠が残らないことも多い
  3. 3推定を置く同一または関連する市場の2者以上に配布されたという事実を起点にする
  4. 4反証を狭める開発も配布もしていないこと、非公開の競合データの使用を知り得なかったことを、明白かつ説得的な証拠で示さなければならない

道具を作った側や配った側には、この反証の道がそもそも開かれていません。使った側も、中身を知らなかったと言うだけでは足りません。第3条は、司法長官または委員会の請求から30日以内の報告を義務づけ、自律的に価格を決めるのか人の確認があるのか、どのデータをどこからどれくらいの頻度で集めているのかまでを含めるよう求めています。

なぜ重要か

同じ価格アルゴリズムが競合の間に配られている状態は、話し合いがなくても価格が揃う結果を生みうる。この法案は、その状態自体を起点に合意を推定し、反証の道を狭めている。アルゴリズムを提供する側から見れば、誰に配ったか、どのデータを使ったかの記録が、法的な意味を持つことになる。

よくある質問(FAQ)

なぜ推定を置くのですか?
談合の立証は合意の存在を示す必要があり、アルゴリズムを介する場合は人が話し合った証拠が残らないことも多いためと読めます。
どうすれば推定を覆せますか?
開発も配布もしていないことに加え、非公開の競合データの使用を知らず合理的にも知り得なかったことを、明白かつ説得的な証拠で示す必要があります。
報告には何を書くのですか?
開発や配布の責任者、自律的に価格を決めるか、規則や過程、使うデータと収集の頻度、価格差別の有無などが列挙されています。

出典(一次情報)

出典:Congress.gov(米国議会図書館・連邦立法資料=パブリックドメイン)。リンク先は公式サイトです。

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