給油艦 T-AO 205 の詳細設計・建造に約59億ドル ― 艦隊の行動半径を決める補給艦(NASSCO・海軍)
米海軍が、給油艦「T-AO 205」の詳細設計・建造(DD&C)を National Steel and Shipbuilding Company(NASSCO)に発注した。契約額は約59億ドル。戦闘艦ではないが、艦隊がどこまで行動できるかを左右する補給艦の建造契約である。
契約の基本情報
- 受注者ナショナル・スチール・アンド・シップビルディング(NASSCO)
- 契約額$5,903,532,971(約59.04億ドル)
- 軍種海軍
- 発注機関国防総省
- 発注部局海軍省
- 契約種別DEFINITIVE CONTRACT
- 履行期間2016-06-30 〜 2028-03-22
- 契約番号(PIID)N0002416C2229
解説に書いた金額($5,899,193,277)は執筆時点の値です。その後の変更により、現在の記録では $5,903,532,971 になっています(上の基本情報が最新です)。
契約の概要(原文)
DETAIL DESIGN AND CONSTRUCTION (DD&C) FOR T-AO 205
要点
- 海軍が給油艦「T-AO 205」の詳細設計・建造(DD&C)を NASSCO に発注。
- 契約額は約59.0億ドル($5,899,193,277・複数年累計)、期間は2016年6月〜2028年3月の約12年。
- 「AO」は給油艦、頭の「T」は軍事海上輸送司令部が運用する艦であることを示す記号。
- DD&C=設計の詰めと建造を同じ受注者が続けて行う契約形態。
- NASSCO はカリフォルニア州サンディエゴの造船会社=本サイトが扱う他の艦艇契約とは別の造船所。
- 給油艦は金額順では目立たないが、艦隊の行動半径と継続日数を決めるため、これが無ければ戦闘艦は遠くへ行けない。
1T-AO という記号が示すもの
米海軍の艦艇には、種類を示す記号が付けられる。「AO」は給油艦(オイラー)を意味し、頭の「T」は海軍の軍事海上輸送司令部が運用する艦であることを示す。つまり T-AO 205 は、艦隊に燃料を補給するための船である。戦闘艦のように武装で語られる艦種ではないが、洋上で燃料を受け取れるかどうかは、艦隊がどれだけ遠く、どれだけ長く行動できるかを直接左右する。
2「詳細設計・建造(DD&C)」という契約の形
概要にある DD&C は Detail Design and Construction の略で、設計の詰めと実際の建造を一つの契約で担う形を指す。基本的な構想が固まった後、実際に鋼材を切り出して組み立てられる図面まで落とし込む作業と、その図面に従って造る作業を、同じ受注者が続けて行う。
設計と建造を分けると、図面の意図が現場に伝わらずに手戻りが生じやすいため、艦艇のように一品性の高い製造ではこの形が用いられる。
312年に及ぶ履行期間
履行期間は2016年6月から2028年3月までで、12年近くに及ぶ。艦艇の建造は、契約から就役までに長い年月を要する事業であり、契約額約59.0億ドルもその期間にわたる改定の累計である。
受注者の NASSCO はカリフォルニア州サンディエゴを拠点とする造船会社で、本サイトが扱う他の艦艇契約(エレクトリック・ボートの潜水艦、ハンティントン・インガルスの駆逐艦)とは別の造船所にあたる。
4上位を占める艦種と、支える艦種
海軍の調達を金額順に並べると、上位は潜水艦・空母・駆逐艦といった戦闘艦で占められます。しかし補給艦がなければ、それらの戦闘艦は自国の港から遠く離れて行動できません。
米海軍の艦艇には種類を示す記号が付けられます。AOは給油艦を意味し、頭のTは海軍の軍事海上輸送司令部が運用する艦であることを示します。派手さのない艦種に数十億ドル規模の契約が付いている事実は、艦隊という仕組み全体を見るうえでの手がかりになります。
なぜ重要か
造船は、造船所ごとに得意な艦種と設備が異なるため、受注者の分布そのものが産業基盤の地図になる。補給艦のような支援艦は戦闘艦に比べて注目されにくいが、契約規模は大きく、鋼材・機関・配管・電装など幅広い裾野産業が関わる。
よくある質問(FAQ)
これは何のデータですか?
契約額は確定額ですか?
T-AO とは何ですか?
DD&C とは何ですか?
出典(一次情報)
本記事は下記の米国政府公式の支出データに基づく独自整理です。正確・最新の内容は公式をご確認ください。
- USAspending(契約の詳細)
- 契約番号(PIID):N0002416C2229