米国の契約書に「非国防総省のパートナー」が現れる ― F-35の43億ドルに見る国際共同調達
海軍がロッキード・マーティンに発注した約43億7,068万ドルの契約。説明欄には、F-35A・F-35B・F-35Cについて「米国の各軍、非国防総省のパートナー」向けの長納期資金を措置することが目的だと書かれており、複数国が関わる調達であることが記録の上で示されている。
契約の基本情報
- 受注者ロッキード・マーティン
- 契約額$4,524,582,239(約45.25億ドル)
- 軍種海軍
- 発注機関国防総省
- 発注部局海軍省
- 契約種別DEFINITIVE CONTRACT
- 履行期間2024-11-22 〜 2031-05-30
- 契約番号(PIID)N0001925C0070
解説に書いた金額($4,370,682,239)は執筆時点の値です。その後の変更により、現在の記録では $4,524,582,239 になっています(上の基本情報が最新です)。
契約の概要(原文)
THE PURPOSE OF THIS CONTRACT IS TO AWARD LONG LEAD FUNDING FOR F-35A, F-35B, AND F-35C AIRCRAFT FOR U.S. SERVICES, NON-DOD PARTNERS, AND FMS CUSTOMERS.
要点
- 義務付け額は約43億7,068万ドル、受注者はロッキード・マーティン、軍種は海軍、期間は2024年11月から2031年5月まで。
- 説明欄に「米国の各軍、非国防総省のパートナー」向けとあり、複数国が関わる調達であることが記録上に示されている。
- F-35A(通常離着陸)・F-35B(短距離離陸垂直着陸)・F-35C(空母艦載)の三型式を並べて記載している。
- 契約の目的は長納期資金の措置=生産の準備が完成品の発注より前に動き出す。
- 2026年9月2日時点で当サイトが保持する防衛契約207件のうち2022年以降に始まったものは19件で、開始年は2018年の22件が最多。
1一つの契約に複数の国が入る
説明欄にある「非国防総省のパートナー(NON-DOD PARTNER)」という表現が、この契約の性格を示しています。F-35は米国だけの計画ではなく、開発の段階から複数の国が資金と分担を持ち寄る国際共同計画として進められてきました。その結果、機体の調達も、米国の各軍と参加国の分をまとめて行う形になります。
米国の政府支出の記録でありながら、他国の需要が同じ契約の中に入っているということです。
2三つの型式が並ぶ
- 1F-35A通常離着陸型。滑走路から運用する
- 2F-35B短距離離陸・垂直着陸型。短い甲板や簡易な飛行場から運用できる
- 3F-35C空母艦載型。カタパルトと着艦拘束装置に対応する
- 4共通の設計三つの型式は主要な構造と系統を共有し、部品と生産ラインを分け合う
三つの型式を一つの計画で開発し、生産も共通化するという設計思想が、この計画の出発点にあります。型式ごとに別々に開発するより費用を抑えられる一方、どれか一つの要求が全体の設計に影響する構造にもなります。本契約が三つの型式を並べて記載しているのは、調達もまとめて行われることの表れです。
3長納期資金という段階
契約の目的は「長納期資金の措置」とされています。納入までに長い期間を要する部材や工程について、本体の生産契約に先立って資金を付けるという趣旨です。当サイトが扱う防衛契約には、同じく長納期部材を対象とする契約が複数現れます。生産の準備が、完成品の発注より前に動き出すという調達の順序が、記録の上でも繰り返し確認できます。
4新しい契約という位置
期間は2024年11月から2031年5月までで、2026年9月2日時点で当サイトが保持する防衛契約207件のうち2022年以降に始まったものは19件です。開始年で見ると2018年の22件が最も多く、記録の中心は2010年代にあります。記録上の支出済み額は0ドルで、契約が始まって間もないことと整合しますが、記録は理由を書いていません。なお
なぜ重要か
国際共同計画では、米国の契約記録の中に他国の需要が含まれる。契約額を米国単独の支出として読むと実態から離れるため、説明欄の文言まで確認する必要がある。
よくある質問(FAQ)
これは何のデータですか?
「非国防総省のパートナー」とは何を指しますか。
契約額は確定額ですか?
出典(一次情報)
本記事は下記の米国政府公式の支出データに基づく独自整理です。正確・最新の内容は公式をご確認ください。
- USAspending(契約の詳細)
- 契約番号(PIID):N0001925C0070