ミサイル防衛「THAAD」迎撃弾ロット9(23発)に累計約91.0億ドル ― ミサイル防衛局がロッキード・マーティンへ発注(USAspending)
USAspendingによれば、米ミサイル防衛局(MDA)は高高度ミサイル防衛システム「THAAD」の迎撃弾ロット9(数量23発)の生産を、ロッキード・マーティンへ発注した。契約額は累計約91.0億ドル($9,095,274,178)。THAADは大気圏内外の高高度で弾道ミサイルを直撃破壊する終末防衛の中核で、PAC-3より上の層を担う。
契約の基本情報
- 受注者ロッキード・マーティン
- 契約額$9,095,170,080(約90.95億ドル)
- 軍種国防総省・全軍共通
- 発注機関国防総省
- 発注部局ミサイル防衛局
- 契約種別DEFINITIVE CONTRACT
- 履行期間2017-03-27 〜 2028-11-30
- 契約番号(PIID)HQ014717C0032
解説に書いた金額($9,095,274,178)は執筆時点の値です。その後の変更により、現在の記録では $9,095,170,080 になっています(上の基本情報が最新です)。
契約の概要(原文)
HQ0147-17-C-0032 UNDEFINITIZED CONTRACT ACTION (UCA) FOR THAAD INTERCEPTOR LOT 9 PRODUCTION - QTY OF 23
要点
1THAAD という終末高高度防衛
THAAD(Terminal High Altitude Area Defense、終末高高度地域防衛)は、弾道ミサイルが最終的に落下してくる終末段階のうち、より高い高度――大気圏の内外にまたがる領域――で脅威を迎え撃つ迎撃システムだ。迎撃弾は炸薬ではなく直撃(ヒット・トゥ・キル)で目標を破壊する。
本契約が対象とするのは、その迎撃弾(インターセプター)の「ロット9」=生産ロットの第9弾で、原文の概要には数量23発と明記されている。
2未確定契約措置(UCA)からの経緯
契約の履歴として興味深いのは、当初が「未確定契約措置(UCA=Undefinitized Contract Action)」だった点だ。UCAは、価格などの条件を完全には確定しないまま、まず着手を認めて後から確定させる契約手法で、納期を急ぐ装備調達で用いられる。急いで生産を立ち上げる必要性と、巨額を扱う契約の慎重さとの折り合いを示す実務の一例といえる。
3PAC-3 と重ねて見える「層」
このTHAADを、先のPAC-3と重ねて見ると、米国のミサイル防衛の「層」が見えてくる。THAADがより高い高度で弾道ミサイルを迎え撃つ上層側を担い、PAC-3がその下、終末の下層を受け持つ――高度で役割を分けて何段にも構える「層状防空(レイヤード・ディフェンス)」の考え方だ。1発を撃ち漏らしても次の層で捕捉する冗長性が、弾道ミサイル防衛の要になっている。
累計約91.0億ドル・数量23発という規模は、この上層迎撃弾がいかに高価で戦略的な装備かを物語る。
4条件を決める前に着手する契約
この契約の履歴で目を引くのは、当初が未確定契約措置(UCA)だった点です。通常の契約が価格を含む条件をすべて決めてから始まるのに対し、UCAは先に着手を認め、後から確定させます。
納期を急ぐ装備調達で用いられる手法で、急いで生産を立ち上げる必要性と、巨額を扱う契約の慎重さとの折り合いを示す実務の一例といえます。本契約が対象とするのは、その迎撃弾のロット9=生産ロットの第9弾で、原文の概要には数量23発と明記されています。
なぜ重要か
高高度迎撃弾は、弾道ミサイル防衛の上層を担う戦略装備であり、数量23発で約91.0億ドルという規模はその高価さと重要性を示す。当初UCAで着手した経緯は、納期を急ぐ調達と巨額契約の慎重さのバランスという実務を映す。PAC-3と合わせた層状防衛の全体像を把握する材料として、安全保障・防衛産業の動向を追う読者に有用。
よくある質問(FAQ)
これは何のデータですか?
契約額は確定額ですか?
THAADとPAC-3はどう違いますか。
出典(一次情報)
本記事は下記の米国政府公式の支出データに基づく独自整理です。正確・最新の内容は公式をご確認ください。
- USAspending(契約の詳細)
- 契約番号(PIID):HQ014717C0032