国家ミサイル防衛「GMD(地上配備型ミッドコース防衛)」の開発・維持に累計約64.7億ドル ― ミサイル防衛局がボーイングへ発注(USAspending)
USAspendingによれば、米ミサイル防衛局(MDA)は、大陸間弾道ミサイルから本土を守る「GMD(地上配備型ミッドコース防衛)」の開発・維持契約を、ボーイングへ発注した。契約額は累計約64.7億ドル($6,466,627,868)、2011年12月開始・2025年12月までの確定契約。飛来するICBMを宇宙空間(ミッドコース段階)で迎撃する、米国の国家ミサイル防衛の中核システムである。
契約の基本情報
- 受注者ボーイング
- 契約額$6,466,627,868(約64.67億ドル)
- 軍種国防総省・全軍共通
- 発注機関国防総省
- 発注部局ミサイル防衛局
- 契約種別DEFINITIVE CONTRACT
- 履行期間2011-12-30 〜 2025-12-31
- 契約番号(PIID)HQ014712C0004
契約の概要(原文)
THE MISSILE DEFENSE AGENCY (MDA), GROUND-BASED MIDCOURSE DEFENSE (GMD) DEVELOPMENT AND SUSTAINMENT CONTRACT (DSC) THE GMD DSC WORK INCLUDES, BUT IS NOT LIMITED TO: 1) FUTURE DEVELOPMENT; 2) FIELDING; 3) TEST; 4) SYSTEMS ENGINEERING, INTEGRATION AND CONFIGURATION MANAGEMENT; 5) EQUIPMENT MANUFACTURING AND REFURBISHMENT; 6) TRAINING; AND 7) OPERATIONS AND SUSTAINMENT SUPPORT FOR THE GMD WEAPON SYSTEM AND ASSOCIATED SUPPORT FACILITIES.
要点
- MDAがGMD(地上配備型ミッドコース防衛)の開発・維持契約(DSC)をボーイングへ発注。累計約64.7億ドル($6,466,627,868)。
- 確定契約、履行期間2011年12月30日〜2025年12月31日。作業は開発・配備・試験・製造/改修・訓練・運用維持を包括。
- GMDはICBMを宇宙空間(ミッドコース段階)で迎撃する米本土防衛の中核。
- PAC-3(終末下層)・THAAD(終末高高度)の上に立つ最上層=国家ミサイル防衛。
- 戦域防衛(PAC-3/THAAD)に対し、GMDは国土そのものを守る戦略防衛。
- 弾道ミサイルはブースト・ミッドコース・終末の三段階をたどり、GMDは最も長い宇宙空間の区間で迎え撃つ。
1弾道ミサイルの3つの飛行段階
弾道ミサイルは、打ち上げ直後の「ブースト段階」、宇宙空間を慣性で飛ぶ「ミッドコース段階」、大気圏に再突入して落下する「終末段階」という経路をたどる。GMD(Ground-based Midcourse Defense)は、このうち最も長い宇宙空間の飛翔段階(ミッドコース)で、飛来する大陸間弾道ミサイル(ICBM)を迎撃するシステムだ。
アラスカやカリフォルニアに配備された地上発射の迎撃弾(GBI)が、宇宙で標的に直接体当たりして破壊する。
2PAC-3・THAAD と並べて見る
本サイトで別途扱ったPAC-3(終末・下層)とTHAAD(終末・高高度)に、このGMDを重ねると、米国のミサイル防衛の全体像=多層の構えが見えてくる。GMDは最も高く・最も遠くで、しかもICBMという戦略核の脅威に対応する最上層を担う。PAC-3やTHAADが戦域(地域)の防衛なら、GMDは国土そのものを守る国家ミサイル防衛だ。
本契約は、そのシステムの開発から配備・試験・運用維持までを包括的に担う「開発・維持契約(DSC)」である。
3公開データで分かる範囲
概要(USAspending)には、将来開発・配備・試験・システムズエンジニアリング・機器製造/改修・訓練・運用維持という広い作業範囲が列挙されており、単なる装備購入ではなく、システム全体を長期に支える契約であることが読み取れる。累計約64.7億ドル・履行2025年までという規模と長さは、国家ミサイル防衛を維持し続けることの重さを物語る。
4三つの段階のどこで迎え撃つか
弾道ミサイルは打ち上げから着弾までに三つの段階をたどります。どの段階で迎え撃つかによって、必要な装備も、置く場所も、成功したときの意味も変わります。
- 1ブースト段階打ち上げ直後、まだ加速している間。捉えやすい一方、発射地点の近くにいなければ届かない
- 2ミッドコース段階宇宙空間を慣性で飛ぶ最も長い区間。GMDはここで迎え撃つ
- 3終末段階(高高度)大気圏の内外にまたがる高い高度。THAADが受け持つ
- 4終末段階(下層)落下の最後の局面。PAC-3が受け持つ
GMDは最も高く、最も遠くで、しかもICBMという戦略核の脅威に対応する最上層を担います。アラスカやカリフォルニアに配備された地上発射の迎撃弾が、宇宙で標的に直接体当たりして破壊します。PAC-3やTHAADが戦域の防衛なら、GMDは国土そのものを守る国家ミサイル防衛にあたります。本契約は、そのシステムの開発から配備・試験・運用維持までを包括的に担う開発・維持契約です。
なぜ重要か
GMDは大陸間弾道ミサイルから本土を守る国家ミサイル防衛の中核で、開発から運用維持までを長期に包括する契約。PAC-3・THAADの上に立つ最上層として、米国の多層ミサイル防衛の全体像を完成させる。戦域防衛と戦略防衛の違いを理解する材料として、安全保障・防衛産業の動向を追う読者に有用。
よくある質問(FAQ)
これは何のデータですか?
契約額は確定額ですか?
GMDはPAC-3やTHAADとどう違いますか。
出典(一次情報)
本記事は下記の米国政府公式の支出データに基づく独自整理です。正確・最新の内容は公式をご確認ください。
- USAspending(契約の詳細)
- 契約番号(PIID):HQ014712C0004