同じ四半期に利益が二つ並ぶ ― 一方はOpenAIへの投資の影響を含み、もう一方は含まない
Microsoftが2025年9月30日終了の四半期について公表した決算発表(8-K項目2.02)。収益は777億ドルで18%増、純利益はGAAP基準で277億ドル・12%増、非GAAP基準で308億ドル・22%増。非GAAPの数値はOpenAIへの投資の影響を除いたものと明記されている。
提出書類の基本情報
- 企業MICROSOFT CORP(MSFT)
- 書類臨時報告 8-K
- 市場Nasdaq
- 業種(SIC)Services-Prepackaged Software
- 提出日2025-10-29
- 対象期2025-10-28
- 8-K事象2.02 業績・財務結果の公表、7.01 レギュレーションFD開示、9.01 財務諸表・添付資料
- 受付番号0001193125-25-256310
要点
1最も多く、最も見られる開示
決算発表は、8-Kのなかで最も多く提出される種類の一つです。四半期ごとに各社が出すため、件数は自然に積み上がります。ところがこの8-K自体には、業績の数値がほとんど書かれていません。数値は展示資料99.1として添付された報道発表のなかにあり、8-Kの本文はそこを指し示しているだけです。
2「提出」ではなく「提供」
項目2.02による開示は、証券取引所法第18条の責任の対象となる「提出(filed)」ではなく「提供(furnished)」として扱われます。発表資料にはその旨が明記されています。決算発表は監査を経ていない速報であり、正式な財務諸表は後から四半期報告書や年次報告書で提出されます。責任の重さを段階的に分ける仕組みが、ここに現れています。
3二つの利益が並ぶ理由
| 指標 | GAAP基準 | 非GAAP基準 |
|---|---|---|
| 純利益 | 277億ドル(12%増) | 308億ドル(22%増) |
| 希薄化後1株当たり利益 | 3.72ドル(13%増) | 4.13ドル(23%増) |
| 収益 | 777億ドル(18%増・現地通貨ベース17%増) | ― |
| 営業利益 | 380億ドル(24%増・現地通貨ベース22%増) | ― |
同じ四半期について、純利益が277億ドルとも308億ドルとも書かれています。差は約31億ドルです。GAAPは会計基準に従って計算した数値で、非GAAPは会社が特定の要素を除いて示した数値です。本件では、非GAAPがOpenAIへの投資の影響を除いたものだと明記されています。
4どちらを見るべきか
どちらが正しいという話ではありません。GAAPは比較可能性を確保するための共通の物差しで、非GAAPは会社が「本業の推移はこう見てほしい」と示す物差しです。除いた項目が何かを確かめれば、会社が何を一時的と考えているかが分かります。除外の内容が開示されているからこそ、読み手が判断できます。
当サイトでは、調整後の見通しは据え置きながらGAAPの見通しだけを引き下げた例も扱っており、二つの数値がどれだけ違う結論を導きうるかが分かります。
なぜ重要か
同じ四半期について二つの利益が示されるとき、差額そのものより「何を除いたか」が読む手がかりになる。除外の内容が開示されているからこそ、読み手が自分で判断できる。
よくある質問(FAQ)
GAAPと非GAAPはどちらを見ればよいですか?
なぜ決算発表は「提供」なのですか?
出典(一次情報)
本記事は下記の米国SEC公式開示に基づく独自整理です。正確・最新の内容は必ず原文をご確認ください。
- SEC EDGAR(提出書類インデックス)
- 主要書類(原文)
- 受付番号:0001193125-25-256310