対象となる事業体は6割減り、対象となる金額は9割が残る ― 基準額を上げるとはどういうことか(2026年9月)
米行政管理予算局の原価計算基準審議会が、連邦契約の原価計算基準の適用基準額を5,000万ドルから1億ドルへ引き上げる最終規則を公表した。同審議会の分析では、対象事業体を約6割減らしつつ、対象金額の9割超を維持できるとされている。
文書の概要(一次情報)
- 文書種別規則
- 発行機関行政管理予算局(OMB)
- 引用91 FR 56056
要点
- 原価計算基準の完全適用および開示書の要件の基準額が、5,000万ドルから1億ドルへ引き上げられる。
- 審議会の分析では、対象となる事業体は約60パーセント減る一方、対象となる金額の90パーセント超が維持される。
- この数字は、連邦契約の金額が少数の大規模な受注者に集中していることを示している。
- 行政機関の長が単独でCASを免除できる契約額の上限も、1,500万ドルから1億ドルへ引き上げられる。
- 規則案には業界団体5件を含む計9件の意見が寄せられ、規制緩和の性格を強く支持した。
1基準額を上げると何が起きるか
規制には、一定の規模を超える対象にだけ適用するという設計がよく使われます。その境目の金額を上げれば、適用を受ける相手は減ります。ただし減り方は一様ではありません。本件の資料には、その効果を示す数字が明記されています。
対象となる事業体が6割減るのに、対象となる金額は9割以上が残ります。これは、契約金額が少数の大規模な受注者に集中していることを意味します。基準額を上げても、金額でみた網羅性はほとんど失われません。逆にいえば、引き上げ前は、金額としては1割に満たない部分のために6割の事業体が手続きを負っていたことになります。
2原価計算基準とは何か
政府が費用を積み上げて代金を払う契約では、何を費用に含め、どの契約に割り当てるかによって支払額が変わります。原価計算基準はその測り方を統一するもので、対象となる受注者は基準に沿った会計を行い、その方法を開示書として提出します。当サイトでは連邦契約のデータも扱っており、契約額と実際の支出が別物であることが繰り返し現れます。
原価の測り方の統一は、その支出の中身を検証できるようにするための基盤にあたります。
3免除の権限も引き上げ
行政機関の長が審議会の承認なしにCASを免除できる契約額の上限も、1,500万ドルから1億ドルへ引き上げられます。これは2017会計年度の国防授権法による法改正を実施するものです。法律で権限が広がっていたものが、規則の側でようやく反映された形です。
4立法と規則の関係
本件の資料には、基本となる基準額を3,500万ドルとする法案が2025年6月に議会へ送られ、2026会計年度の国防授権法の条項として成立したことも記されています。規則で変えられる部分と、法律を変えなければならない部分があり、両者が並行して進んでいます。当サイトでは議会の法案も扱っており、行政の提案が立法として結実する経路を追うことができます。
なぜ重要か
基準額の引き上げの効果を「対象数」と「対象金額」の二つで測ると、規制の網羅性を保ちながら手続きの負担を減らせる範囲が見える。金額が少数に集中している分野では、この設計が特に効きやすい。
よくある質問(FAQ)
原価計算基準とは何ですか?
対象が6割減るのに金額が9割残るのはなぜですか?
出典(一次情報)
出典:Federal Register(連邦政府文書=パブリックドメイン)。リンク先は公式サイトです。