工事の騒音でクジラの行動を乱すことにも許可が要る ― アラスカのフェリー埠頭工事と11種の海洋哺乳類(2026年8月)
米海洋大気庁が、アラスカ州ケチカンのフェリー埠頭の工事について、11種の海洋哺乳類への付随的な影響を認める許可を再発行した。海洋哺乳類保護法の「嫌がらせ」には、騒音で行動を乱すことも含まれる。
文書の概要(一次情報)
- 文書種別告示
- 発行機関商務省
- 引用91 FR 52675
要点
- 米海洋大気庁が、アラスカ州ケチカンのフェリー埠頭工事について、海洋哺乳類への付随的な影響を認める許可を再発行した。
- 海洋哺乳類保護法の「捕獲」には、騒音などで行動パターンを乱す「嫌がらせ」も含まれる。
- 嫌がらせは、傷つける可能性のあるレベルAと、移動・呼吸・授乳・繁殖・摂餌・休息などの行動を乱すレベルBに分かれる。
- 対象はミンククジラ、ザトウクジラ、シャチ、トド、ゼニガタアザラシなど11種。有効期間は2026年9月1日から2027年8月31日。
- 許可の条件は、種または系群への影響が無視できることと、生存のための利用に緩和不能な悪影響を及ぼさないこと。
1「捕獲」という言葉の広さ
海洋哺乳類保護法は、海洋哺乳類の「捕獲(take)」を原則として禁じています。ところがこの法律でいう捕獲には、実際に捕まえることだけでなく「嫌がらせ(harassment)」も含まれます。そして嫌がらせの定義は、日常語の印象よりずっと広いものです。
工事の水中騒音がクジラの移動経路を変えさせたり、摂餌をやめさせたりすれば、それは法律上の「捕獲」にあたります。だからフェリーの埠頭を造る工事にも、連邦の許可が必要になります。
2何が許可されたのか
| 項目 | 内容 |
|---|---|
| 事業 | アラスカ州ケチカン、トンガス海峡のフェリー埠頭建設 |
| 申請者 | アラスカ州運輸公共施設局 |
| 対象種 | 11種(ミンククジラ、ナガスクジラ、ザトウクジラ、コククジラ、カマイルカ、シャチ、ネズミイルカ、イシイルカ、トド、キタゾウアザラシ、ゼニガタアザラシ) |
| 許可の内容 | 嫌がらせのみによる付随的な捕獲 |
| 有効期間 | 2026年9月1日から2027年8月31日まで |
許可されているのは「嫌がらせのみ」による捕獲であり、傷つけたり殺したりすることではありません。工事に伴って避けられない範囲の影響について、事前に範囲を定めて認める仕組みです。
3許可が下りる条件
法律は、許可を与えるための判断を定めています。当該捕獲が種または系群に対して無視できる影響しか及ぼさないこと、そして生存のための利用における種の入手可能性に緩和不能な悪影響を及ぼさないことです。後者は、地域の住民が生活の糧として海洋哺乳類を利用している場合を想定した条件で、環境保護と地域の生活の両方を条件に組み込んでいます。
4再発行という形
本件は新規の許可ではなく、以前に発行した許可の再発行です。当初の許可は2023年9月に告示され、その後の工事の進行にあわせて期間が更新されてきました。工事が予定どおり終わらなければ、許可も取り直す必要があります。環境への影響を認める許可に期限が設けられているのは、状況が変われば判断もやり直すという考え方によるものです。
なぜ重要か
生活を支える公共工事であっても、環境への影響は事前に範囲を定めて許可を得る対象になる。期限が設けられているため、状況が変われば判断もやり直される。
よくある質問(FAQ)
なぜ工事に海洋哺乳類の許可が要るのですか?
レベルAとレベルBの違いは何ですか?
出典(一次情報)
出典:Federal Register(連邦政府文書=パブリックドメイン)。リンク先は公式サイトです。