EPA、製鉄原料「タコナイト」施設の窒素酸化物(NOx)排出に上限 ― US Steelキータック施設の規制を確定(2026年6月)
米環境保護庁(EPA)が、鉄鋼原料となる「タコナイト」(鉄鉱石を加工したペレット原料)を製造するUSスチールのキータック施設(ミネソタ州)について、焼成炉の窒素酸化物(NOx)排出上限を確定。視界改善のための「利用可能な最善の改修技術(BART)」要件を満たすための規則。
文書の概要(一次情報)
- 文書種別規則
- 発行機関Environmental Protection Agency
- 引用91 FR 34574
要点
- EPAがUSスチールのキータック・タコナイト施設(ミネソタ州)の焼成炉のNOx排出上限を確定
- 広域もや(regional haze)対策の「利用可能な最善の改修技術(BART)」要件を満たすための規則
- 720時間移動平均で、天然ガス専焼3.4/その他2.0ポンドNOx/MMBtu(各3年・5年後に施行)
- NOx削減技術設置後のCEMSデータに基づく混焼上限の調整(上限2.5)の選択肢も
- 施行に数年の猶予を設ける、産業施設向け大気規制の確定例
米環境保護庁(EPA)は、2013年の連邦実施計画(FIP)を改定し、USスチール(U.S. Steel)のキータック(Keetac)タコナイト施設(ミネソタ州キーワティン)の焼成炉について、窒素酸化物(NOx)の排出上限を確定した(規則、2026年6月8日付)。タコナイトは鉄鉱石を粉砕・濃縮し、高炉で使えるペレットに加工した鉄鋼原料で、その製造過程の焼成炉から大気汚染物質が排出される。
本規則は、国立公園などの視界(visibility)を悪化させる「広域もや(regional haze)」対策として、タコナイト施設に「利用可能な最善の改修技術(BART: Best Available Retrofit Technology)」を求める要件を満たすためのものだ。確定したBART上限は、いずれも720時間の移動平均で評価され、(1)天然ガスのみを燃焼する場合は3.4ポンドNOx/100万BTU(最終規則の公布から3年後に施行)、(2)天然ガス以外の燃料または混合燃料の場合は2.0ポンドNOx/100万BTU(5年後に施行、それ以前にEPAが修正値を公布しない限り)。
さらに本規則は、NOx削減技術の設置後に連続排出監視装置(CEMS)で収集したデータに基づき、施設が最終規則の発効から52か月以内に混焼時の上限(720時間移動平均で2.5ポンドNOx/MMBtuを超えない範囲)の調整を求める選択肢も認めている。
本件は、特定の産業施設に対する具体的な大気汚染規制の確定例であり、施行までに数年の猶予と技術導入を見込む、米国の環境規制の運用のあり方を示す。
なぜ重要か
特定の産業施設に対する具体的な大気汚染規制(NOx・BART)の確定例。鉄鋼・製造・環境コンプライアンスに関わる読者にとって、米国の排出規制の運用と施行スケジュールの考え方を読む手がかりになる。
よくある質問(FAQ)
タコナイトとは?
BARTとは?
出典(一次情報)
出典:Federal Register(連邦政府文書=パブリックドメイン)。リンク先は公式サイトです。