S. 5135 上院法案 第119議会

選挙運動での「権限のなりすまし」にAI生成物を含めると明記する法案 ― 新しい禁止ではなく、既存の条文への一句の挿入

米上院 最新の動き 2026年7月27日

S.5135「AI広告法案」は、1971年連邦選挙運動法において、選挙運動上の権限を詐称すること、および資金を詐取することの禁止に、人工知能(生成AI)を用いて全部または一部が生成された内容による詐称が含まれることを明確にする法案。新しい禁止規定を作るのではなく、既存の条文に一句を挿入する形を取る。

法案の概要(一次情報)

  • 法案番号S. 5135
  • 種別上院法案
  • 議会第119議会
  • 最新の議会アクションRead twice and referred to the Committee on Rules and Administration.(2026-07-27)

要点

  • S.5135「AI広告法案」は、1971年連邦選挙運動法の詐称・資金詐取の禁止に、AI生成物による詐称が含まれることを明記する法案。
  • 新しい禁止規定を作るのではなく、既存の条文にセミコロンを削除して一句を挿入する形の改正。
  • 挿入される文言は「全部または一部が生成された」内容で、人が作ったものへの加工も含む書き方。
  • 第3条では、他の候補者に損害を与える目的での候補者による詐称の禁止を、候補者の詐称にも及ぼす改正が行われる。
  • 付託先は規則・運営委員会=AI関連法案の多くが行く商業・科学・運輸委員会や司法委員会とは別。

1新しい禁止を作らない

AIをめぐる規制の議論は、しばしば新しい法律を作る話として語られます。この法案が取るのは別の道です。既に存在する禁止規定に、一句を挿入するだけの改正で対応しようとしています。選挙運動上の権限を詐称すること、および資金を詐取することは、1971年連邦選挙運動法で既に禁じられています。

その条文に「人工知能を用いて全部または一部が生成された内容を用いることによるものを含む」と書き加える、というのが本法案の内容です。

2条文がしていること

  1. 1第322条(a)(1)の改正選挙運動上の権限の詐称の禁止に、AI生成物による詐称が含まれることを明記
  2. 2第322条(b)(1)の改正資金の詐取の禁止に、同じ文言を挿入
  3. 3第3条の改正他の候補者に損害を与える目的での候補者による詐称の禁止を、候補者の詐称にも及ぼす
  4. 4条文上の操作セミコロンを削除し、文言を挿入する

「セミコロンを削除して挿入する」という記述が、この改正の小ささを物語ります。条文の構造には手を触れず、既存の禁止の射程に疑いが生じないようにするだけです。生成AIで作った音声や映像で候補者を名乗る行為は、常識的には既に禁止に当たるはずですが、条文が想定していなかった手段である以上、争いになる余地が残ります。それを事前に潰すための改正です。

3「全部または一部」という書き方

挿入される文言には「全部または一部が生成された(generated in whole or in part)」とあります。完全にAIが作ったものだけでなく、人が作ったものに手を加えた場合も含まれる書き方です。実際の制作では、素材を人が用意してAIが加工する、あるいはその逆といった混合が普通であり、どちらか一方に限定すれば抜け道になります。

4どの委員会に行くか

付託先は規則・運営委員会です。AI関連の法案の多くが商業・科学・運輸委員会や司法委員会に行くのに対し、選挙制度を扱う本法案は別の委員会に回されます。2026年9月2日時点で当サイトが保持する法案120件のうち94件78%)は委員会に付託されたままで、本法案もその段階にあります。同じ時点の記録では下院提出が70件、上院提出が50件です。

なぜ重要か

既存の禁止規定の射程にAIを明記するという最小限の改正の型。新しい規制を作らずに適用の疑いだけを消すという手法は、他の分野でも繰り返し使われうる立法の作法にあたる。

よくある質問(FAQ)

なぜ新しい法律を作らないのですか?
選挙運動上の権限の詐称は既に禁じられており、AI生成物がその射程に入ることを明記すれば足りるためです。条文の構造には手を触れない改正になっています。
「全部または一部」とはどういう意味ですか?
完全にAIが作ったものだけでなく、人が作ったものに手を加えた場合も含む書き方です。実際の制作は混合が普通であり、一方に限定すれば抜け道になります。

出典(一次情報)

出典:Congress.gov(米国議会図書館・連邦立法資料=パブリックドメイン)。リンク先は公式サイトです。

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