ポンプに必ず同梱される部品に漏れのおそれ ― 機器の記録の8割はクラスIIで、これは残る2割(Abiomed)
米FDAは、Abiomed社の補助循環用ポンプ「Impella CP」のポンプセットについて、同梱されるイントロデューサー(血管に挿入するシース)から漏れが生じるおそれがあるとして、最も重大なクラスIに分類した。対象は87,277個で、世界各国に流通した。
リコールの概要(一次情報)
- 分類クラスI(最も重大)
- 対象種別医療機器
- 回収企業Abiomed, Inc.
- 理由A potential for introducer sheath leakage from under the sheath cap and along the hub score lines, identified in 14Fr and 23Fr Introducers. These manufacturing issues are not visually detectable by the user, and 14Fr or 23Fr Introducers are provided in every pump set.
- 流通範囲Worldwide distribution. US Nationwide, Australia (AU), Austria (AT), Belgium (BE), Brazil (BR), Brunei (BN), Canada (CA), China (CN), Croatia (HR), Czech Republic (CZ), Denmark (DK), Finland (FI), Fr...
- 回収開始日2026-06-11
要点
- FDAは最も重い区分「クラスI」に分類(Z-2682-2026・報告2026年7月22日・状態は進行中)。
- 対象は ABIOMED Impella CP Set(ポンプセットコード 0048-0003)と同梱の14Frイントロデューサー(製品コード 0052-3046)、87,277個。
- 不具合は14Fr・23Frイントロデューサーで、シースキャップ下とハブのスコアラインに沿って漏れが生じうること。
- FDAの記録は、この製造上の問題が使用者の目視では検知できないと明記している。
- 14Frまたは23Frのイントロデューサーはすべてのポンプセットに同梱されており、影響は製品ライン全体に及ぶ。
- 2026年9月1日時点で当サイトが保持するFDAの回収記録のうち医療機器779件は、クラスI 137件・クラスII 642件で、8割がクラスII。
1Impellaとイントロデューサーの関係
Impella は、カテーテルを通じて心臓の中に留置し、ポンプで血液を送り出すことで弱った心臓のはたらきを補助する装置です。装置本体を血管へ入れるためには、まず血管に「イントロデューサー」と呼ばれるシース(さや状の導入器具)を挿入し、その内側を通してカテーテルを進めます。
イントロデューサーは装置そのものではなく通り道にあたる部品ですが、太い血管に留置される以上、そこから漏れが起きれば出血や空気の混入といった問題に直結します。
2どこから漏れるのか
今回の不具合は、シースキャップの下と、ハブ(手元側の接続部)のスコアラインと呼ばれる切り込み線に沿って漏れが生じうる、というものです。FDAの記録が特に重く扱っているのは、この製造上の問題が「使用者の目視では検知できない(not visually detectable by the user)」と明記されている点です。
つまり医療従事者が使用前に外観を確認しても、対象となる個体を見分けることができません。
3全ポンプセットに同梱される意味
さらに、14Frまたは23Frのイントロデューサーは「すべてのポンプセットに同梱されている(provided in every pump set)」とされています。
特定の単品部品だけを差し替えれば済むのではなく、製品ライン全体にまたがって影響が及ぶ構造であることを意味しており、対象数量が87,277個に達し、流通が米国全土に加えてオーストラリア、オーストリア、ベルギー、ブラジル、ブルネイ、カナダ、中国、クロアチア、チェコ、デンマーク、フィンランド、フランス、ドイツ、ギリシャ、香港、アイルランドなど世界各国へ広がっている背景にもなっています。
4機器の記録の8割はクラスII
2026年9月1日時点で当サイトが保持するFDAの回収記録のうち医療機器779件を分類で分けると、最も重いクラスIが137件、クラスIIが642件です。
8割はクラスIIで、この記録はその外側の2割に入ります。機器の回収の多くは、使えば不便が生じる程度の不具合です。そのなかでクラスIが付くのは、この記録のように、体内に入る経路や生命維持に関わる場面で使われる部品に問題が及ぶときです。
なぜ重要か
補助循環装置のように複数部品を組み合わせて使う医療機器では、主役となる装置ではなく付属部品の製造ばらつきが全体の安全性を規定することがあります。本件は、目視で選別できない不具合が、すべてのポンプセットに同梱される部品を通じて8.7万個規模・世界数十か国へ広がった事例です。GTIN・製品コード・バッチ単位で在庫を即座に突合できる管理と、代替器材の確保計画が、医療機関側の実務的な備えになります。
よくある質問(FAQ)
イントロデューサーとは何ですか。
なぜ影響範囲が広いのですか。
使用前に見分けることはできますか。
出典(一次情報)
出典:openFDA(米国FDA・CC0 パブリックドメイン)。データは無保証で、医療判断には用いないでください。最新・正確な情報は FDA公式のリコール情報をご確認ください。本サイトは米国FDAに推奨・認定されたものではありません。
- FDA リコール情報(公式)
- openFDA(データ提供元)
- リコール番号: Z-2682-2026