2隻分の長納期資材だけで約71億ドル ― 潜水艦は着工の前に発注が始まる(エレクトリック・ボート)
米海軍が発注したエレクトリック・ボート向けの契約で、義務付け額は約70億9,982万ドル。説明欄には、2隻の攻撃型潜水艦(SSN 814・SSN 815)のための長納期資材と記されている。
契約の基本情報
- 受注者ゼネラル・ダイナミクス
- 契約額$7,099,818,031(約71億ドル)
- 軍種海軍
- 発注機関国防総省
- 発注部局海軍省
- 契約種別DEFINITIVE CONTRACT
- 履行期間2023-10-13 〜 2035-09-30
- 契約番号(PIID)N0002424C2110
契約の概要(原文)
SSN 814 & SSN 815 LONG LEAD TIME MATERIAL
要点
- 長納期資材は、発注から納品までに数年を要し、船体の組み立てを待っていては間に合わない部材を指す。
- 本契約は2隻の攻撃型潜水艦(SSN 814・SSN 815)分の長納期資材にあたり、義務付け額は約70億9,982万ドル。
- 期間は2023年10月から2035年9月までの約12年で、資材の手配だけでもその時間軸で進む。
- 2026年9月2日時点で当サイトが保持する207件のうち、説明欄に長納期が現れるのは23件・合計約2,192億ドル=全体の15.0%。
- 説明欄にSSNが現れる記録は3件・合計約622億ドルにのぼる。
- 2隻分をまとめて一つの契約にしている理由は記録に書かれていない。
1建造の前に始まっているもの
潜水艦の建造は、船台に載る前から始まっています。原子炉に関わる部材、圧力殻の鋼材、推進系の主要部品など、発注から納品までに数年を要するものは、船体の組み立てを待っていては工程に間に合いません。長納期資材(long lead time material)は、そうした部材をまとめて先に手配するための区分です。
- 1長納期資材を発注する数年かかる部材を先に手配する(本契約)
- 2本体の建造契約を結ぶ船体の建造そのものを契約する
- 3建造を開始する手配済みの部材が届いた状態で組み立てに入る
- 4就役へ試験を経て運用に入る
この契約の期間が2023年から2035年までの約12年にわたるのは、資材の手配だけでもそれだけの時間軸で進むためです。艦番号(SSN 814・SSN 815)が既に振られている段階で、まだ資材の契約という位置にあります。
22隻分の資材が中央値の1.5倍
装備そのものを買う契約ではなく、その材料を先に手配する契約が、全体の15%を占める規模で並んでいます。国防の調達で工程の長さが支出の形を決めているという構図が、この語の広がりに現れています。
3艦番号が示すもの
説明欄にある SSN 814 と SSN 815 は、個々の艦に振られた番号です。2隻分をまとめて一つの契約にしているのは、同型艦をまとめて発注することで資材の手配を効率化する狙いと読めますが、記録は理由を書いていません。読み取れるのは、2隻分の長納期資材に約71億ドルが義務付けられ、期間が2035年まで設定されているという事実までです。
なぜ重要か
造船のように工程が長い装備では、着工の何年も前から資材の発注が動きます。供給側にとっては、本体の建造契約より先に長納期部材の需要が確定することを意味し、生産計画の前提が本体契約とはずれます。公開データを年度別に集計する際も、資材の契約と建造の契約が別の年に現れるため、装備一隻あたりの費用を年度から読み取ることはできません。
よくある質問(FAQ)
長納期資材とは何ですか。
なぜ資材だけで約71億ドルになるのですか。
期間が2035年までなのはなぜですか。
出典(一次情報)
本記事は下記の米国政府公式の支出データに基づく独自整理です。正確・最新の内容は公式をご確認ください。
- USAspending(契約の詳細)
- 契約番号(PIID):N0002424C2110