5年度分の艦をまとめて1本の契約で発注する ― 駆逐艦建造にみる多年度調達
海軍がバス鉄工所に発注した約54億8,215万ドルの契約。説明欄は「FY18-FY22 DDG 51 CLASS SHIP CONSTRUCTION」で、2018会計年度から2022会計年度までの5年度分のアーレイ・バーク級駆逐艦の建造を一本の契約で扱うことを示す。
契約の基本情報
- 受注者ゼネラル・ダイナミクス
- 契約額$5,482,321,238(約54.82億ドル)
- 軍種海軍
- 発注機関国防総省
- 発注部局海軍省
- 契約種別DEFINITIVE CONTRACT
- 履行期間2018-09-27 〜 2030-12-20
- 契約番号(PIID)N0002418C2305
解説に書いた金額($5,482,152,463)は執筆時点の値です。その後の変更により、現在の記録では $5,482,321,238 になっています(上の基本情報が最新です)。
契約の概要(原文)
FY18-FY22 DDG 51 CLASS SHIP CONSTRUCTION
要点
- 義務付け額は約54億8,215万ドル、受注者はバス鉄工所、軍種は海軍、期間は2018年9月から2030年12月までの約12.2年。
- 説明欄は「FY18-FY22 DDG 51 CLASS SHIP CONSTRUCTION」で、5会計年度分の駆逐艦建造を一本の契約で扱う多年度調達。
- 多年度調達は、造船所が資材の手配と人員の確保を長期で計画できるようにし、まとめ買いによる単価の低減も見込める。
- 代わりに途中で数量や仕様を変えることは難しくなる=柔軟性を手放して価格と安定を取る仕組み。
- 2026年9月2日時点で当サイトが保持する防衛契約207件のうち軍種が海軍のものは77件で最多。
1年度ごとに買うか、まとめて買うか
政府の調達は会計年度ごとに予算が付くのが原則です。ところが艦艇のように建造に何年もかかる装備では、毎年その年度分だけを別々に発注すると、造船所は先の見通しを立てられません。資材の手配も、人員の確保も、年度をまたいだ計画が必要になります。多年度調達は、この不一致を埋めるための仕組みです。
本契約の説明欄にある「FY18-FY22」は、5会計年度分をまとめて一本の契約にしていることを示しています。
2まとめることで何が変わるか
まとめて発注できる代わりに、途中で計画を変えることは難しくなります。数量や仕様を変更すれば違約の問題が生じ、予算の都合で年度の途中に減らすこともできません。柔軟性を手放して、価格と安定を取る仕組みです。防衛の調達では、この判断が装備ごとに議会で議論されます。
312年続く契約
期間は2018年9月から2030年12月までの約12.2年です。5年度分の建造契約が12年にわたるのは、最後の年度に発注された艦の建造と引き渡しが、契約の締結から10年以上先になるためです。2026年9月2日時点で当サイトが保持する防衛契約207件の期間は中央値10.7年なので、12.2年はやや長い部類にあたります。
記録上の支出済み額は0ドルで、これは同じ時点の207件のうち115件(56%)に共通する状態です。
4海軍が最多である理由
当サイトが保持する記録では海軍が最多です。艦艇と艦載機は一件あたりの金額が大きく、建造の期間も長いため、大型契約として記録に残りやすいという構造があります。造船所は限られた数しかなく、一つの契約が長期にわたって同じ受注者に向かうことも、この分布に影響しています。なお
なぜ重要か
建造に年数を要する装備では、年度ごとの予算と生産の計画が食い違う。多年度調達はその不一致を埋める仕組みであり、受注側の設備投資と雇用の計画に直結する。
よくある質問(FAQ)
これは何のデータですか?
多年度調達とは何ですか。
契約額は確定額ですか?
出典(一次情報)
本記事は下記の米国政府公式の支出データに基づく独自整理です。正確・最新の内容は公式をご確認ください。
- USAspending(契約の詳細)
- 契約番号(PIID):N0002418C2305