ミサイル警戒衛星「次世代OPIR」の開発に累計約74.4億ドル ― 空軍がロッキード・マーティンへ発注した早期警戒の"目"(USAspending)
USAspendingによれば、米空軍は静止軌道のミサイル警戒衛星「次世代OPIR(Next Generation Overhead Persistent Infrared)」の宇宙機1〜3号のフェーズ1開発を、ロッキード・マーティンへ発注した。契約額は累計約74.4億ドル($7,437,743,475)、2018年8月開始・2029年7月までの確定契約。赤外線で弾道ミサイルの発射をいち早く探知する、ミサイル防衛の"目"にあたる衛星である。
契約の基本情報
- 受注者ロッキード・マーティン
- 契約額$7,475,763,152(約74.76億ドル)
- 軍種空軍
- 発注機関国防総省
- 発注部局空軍省
- 契約種別DEFINITIVE CONTRACT
- 履行期間2018-08-14 〜 2029-07-31
- 契約番号(PIID)FA881018C0005
解説に書いた金額($7,437,743,475)は執筆時点の値です。その後の変更により、現在の記録では $7,475,763,152 になっています(上の基本情報が最新です)。
契約の概要(原文)
NEXT GENERATION OVERHEAD PERSISTENT INFRARED GEOSYNCHRONOUS EARTH ORBIT SPACE VEHICLE 1-3 PHASE 1
要点
- 空軍が次世代ミサイル警戒衛星OPIR(静止軌道 宇宙機1〜3号 フェーズ1)の開発をロッキード・マーティンへ発注。累計約74.4億ドル($7,437,743,475)。
- 確定契約、履行期間2018年8月14日〜2029年7月31日。
- OPIRは赤外線で弾道ミサイル発射の噴射炎を捉え早期警報を出すミサイル警戒衛星。
- PAC-3/THAAD/GMD(迎撃)に対し、OPIRは「いち早く気づく」ミサイル防衛の"目"(起点)。
- 宇宙が安全保障の要に=迎撃の前提となる探知を担う戦略装備。
- ミサイル防衛は警戒(探知)・指揮管制・迎撃が噛み合って機能し、OPIR衛星はその起点を担う。
1早期警戒という最初の一手
弾道ミサイルの防御は、「飛んできた」と気づくのが早いほど有利になる。その最初の一報を担うのが、宇宙に置かれたミサイル警戒衛星だ。「OPIR(Overhead Persistent Infrared=上空からの持続的赤外線監視)」は、地上を常時赤外線で見張り、ミサイル発射の瞬間に生じる高温の噴射炎を捉えて、いち早く警報を発する。
本契約が対象とする「次世代OPIR」は、その最新世代の衛星(静止軌道の宇宙機1〜3号)の開発だ。
2迎撃システムとの役割分担
本サイトで別途扱ったPAC-3・THAAD・GMDが「迎え撃つ」システムなら、OPIRは「いち早く気づく」システム――迎撃の前提となる"目"にあたる。どんなに優れた迎撃弾も、飛来を早く探知できなければ間に合わない。ミサイル防衛は、警戒(探知)・迎撃・指揮管制が噛み合って初めて機能するのであり、OPIRはその起点を担う。宇宙(宇宙軍の領域)が安全保障の要になりつつあることを象徴する装備でもある。
3公開データで分かる範囲
概要(USAspending)は「次世代OPIRの宇宙機1〜3号 フェーズ1」までで、個別の性能諸元までは記されていない(本サイトは概要に無い内容は補わない)。累計約74.4億ドルという規模は、ミサイル防衛の"目"となる衛星の開発に、いかに巨額が投じられているかを示している。
4気づく・決める・迎え撃つ
ミサイル防衛は、迎撃ミサイルの性能だけで成り立つものではありません。どんなに優れた迎撃弾も、飛来を早く探知できなければ間に合いません。この契約が担うのは、その最初の段階です。
- 1警戒(探知)宇宙に置いた衛星が地上を常時赤外線で見張り、発射の瞬間に生じる高温の噴射炎を捉える
- 2指揮管制捉えた情報を伝え、どこで迎え撃つかを決める
- 3迎撃PAC-3・THAAD・GMDといった装備が実際に撃ち落とす
OPIRは上空からの持続的赤外線監視を意味し、本契約が対象とする次世代OPIRは、その最新世代の衛星(静止軌道の宇宙機1〜3号)の開発です。三つの段階が噛み合って初めて防衛として機能するため、起点を担う衛星の開発に累計約74.4億ドルが投じられています。宇宙が安全保障の要になりつつあることを象徴する装備でもあります。
なぜ重要か
ミサイル警戒衛星は、迎撃の前提となる早期探知を担う、ミサイル防衛の起点である。どんな迎撃弾も探知が遅れれば間に合わないため、OPIRのような"目"への投資は防衛体制の実効性を左右する。宇宙が安全保障の要になりつつある象徴でもあり、警戒・迎撃・指揮管制が噛み合う全体像を把握する材料として、安全保障・防衛産業を追う読者に有用。
よくある質問(FAQ)
これは何のデータですか?
契約額は確定額ですか?
OPIR(ミサイル警戒衛星)は何をするのですか。
出典(一次情報)
本記事は下記の米国政府公式の支出データに基づく独自整理です。正確・最新の内容は公式をご確認ください。
- USAspending(契約の詳細)
- 契約番号(PIID):FA881018C0005