2030年までに年1,000回超の打上げ・再突入を支える国家宇宙輸送政策(NSPM-17)― 射場の整備から周波数確保、48時間以内の打上げ能力まで各省に期限付きで指示 ― 連邦官報(2026年8月)
2026年8月20日付の国家安全保障大統領覚書17(NSPM-17)が国家宇宙輸送政策を定めた。2030年までに射場が年1,000回を超える打上げ・再突入を支えられるようにするという目標を掲げ、射場の共同整備、周波数の確保、連邦有地への再突入場所の追加などを期限付きで各省に指示する。
文書の概要(一次情報)
- 文書種別大統領文書
- 発行機関大統領府
- 引用91 FR 54929
要点
- 国家安全保障大統領覚書17(2026年8月20日付・同年8月25日公示)が国家宇宙輸送政策を定めた。
- 2030年までに米国の宇宙輸送射場が年1,000回を超える打上げ・再突入を支えられるようにすることを目標に掲げる。
- 対象は準軌道・超低軌道から月面、ラグランジュ点、深宇宙まで。
- 90日以内に追加の再突入場所の特定、180日以内に射場スケジューリング基準・射場候補地・周波数確保方針、240日以内に開発計画という期限付きの指示。
- 連邦の射場を商業利用者に開き、賃貸借・民間投資・官民連携による共同整備と、射場スケジュールの定期公表を求める。
1「年1,000回」という数字が政策文書に書かれる
連邦官報2026年8月25日公示の国家安全保障大統領覚書17(NSPM-17)は、国家宇宙輸送政策を定めるにあたり、はっきりした数量目標を置いた。2030年までに、米国の宇宙輸送射場が年1,000回を超える打上げと再突入を支えられるようにする、というものだ。政策文書が具体的な回数を掲げるのは、対象がすでに実験の段階を離れ、処理能力の問題になっていることを意味する。
覚書はあわせて、対象とする軌道の範囲も明示している。準軌道と超低軌道の高度から、月面、ラグランジュ点、深宇宙までである。
2期限で区切られた宿題
| 期限 | 担当 | 内容 |
|---|---|---|
| 90日以内 | 内務長官 | 連邦有地から追加の指定再突入場所を特定する |
| 180日以内 | 戦争長官 | 射場のスケジューリング基準を策定し、商業利用者の効率的な利用を最大化する |
| 180日以内 | 運輸長官 | 追加の射場候補地を特定し、打上げ・再突入の管理を空域・交通管制の近代化に統合する計画を実施し、重要な打上げ回廊の優先空域を指定する |
| 180日以内 | 商務長官とFCC委員長 | 打上げ・再突入・回収・軌道上活動への確実な周波数アクセスを確保し、その方針を大統領へ報告する(以後2年ごと) |
| 180日以内 | 戦争長官 | 必要から48時間以内という加速した日程や遠征地からの打上げを含め、迅速で強靭な宇宙アクセスの障害を評価する |
| 240日以内 | 商務長官 | 指定再突入場所の開発計画を、商業利用・インフラ・共同整備の需要を踏まえて作成する |
並べてみると、この覚書が主に扱っているのがロケットそのものではなく、その周辺の詰まりであることが分かる。射場の予約、空域、周波数、再突入できる土地。打上げの回数を増やそうとしたときに先に限界が来るのは、こうした共用資源のほうだという認識が設計に表れている。
3政府の射場を民間に開く
覚書は、戦争長官とNASA長官に対し、連邦の打上げ・再突入の射場と施設を、政府利用者と非政府利用者の双方に配慮した透明な形で運用するよう求めている。
さらに関係省庁には、連邦有地における資本改良のための賃貸借・民間投資・官民連携を通じた射場インフラの共同整備を促し、商業利用者の連邦射場へのアクセスを容易にし、施設の許認可と環境レビューを迅速化し、共通のサービス・物資・インフラについて公正で透明な費用回収方針を策定するよう指示する。
射場のスケジュールを定期的に公表することも求められており、資源配分の透明化が明示的な目的として書かれている。
4大統領文書という器
この文書は連邦官報の「大統領文書」として公示されている。2026年9月2日時点で当サイトが保持する連邦官報6,830件のうち、大統領文書は66件で、告示5,384件・規則920件・提案規則460件と比べると数は少ない。ただし大統領文書は、それ自体が直接に義務を課すというより、各省庁に期限付きの作業を割り当て、後続の規則や計画を生み出す起点として働く。
この覚書に並ぶ90日・180日・240日という期限は、そのまま今後1年間に連邦官報へ現れる文書の予告表として読める。
なぜ重要か
宇宙輸送の制約が機体からインフラへ移っていることを、政策文書が期限付きの作業として明示した。射場の予約・空域・周波数・再突入用地という共用資源の配分方針が今後1年で具体化するため、打上げ事業者・射場運営者・通信事業者にとって実務上の前提が変わりうる。
よくある質問(FAQ)
この覚書で何かが直ちに変わりますか?
「48時間以内」とは何を指しますか?
出典(一次情報)
出典:Federal Register(連邦政府文書=パブリックドメイン)。リンク先は公式サイトです。