入院1件あたりいくら、と先に決めておく ― 診断群ごとの定額払いと、2027会計年度に29億ドル増える見込み(2026年8月)
米メディケア・メディケイド・サービスセンターが、急性期病院の入院医療に対する2027会計年度の支払い率などを定める最終規則を公表した。支払いは診断群ごとにあらかじめ定めた額で行われ、前年度比でおよそ29億ドルの増加が見込まれている。
文書の概要(一次情報)
- 文書種別規則
- 発行機関保健福祉省
- 引用91 FR 49570
要点
- 米CMSが、急性期病院の入院医療に対する2027会計年度の支払い率などを定める最終規則を公表した。
- 支払いは退院1件ごとにあらかじめ定められた率で行われ、退院は診断群の一覧に従って分類される。
- 基礎率は労働関係分と非労働関係分に分けられ、労働関係分が地域の賃金指数で調整される。
- 2027会計年度の支払いは2026会計年度と比べておよそ29億ドル増加すると見込まれる。
- 増加の要因には支払い率の引き上げだけでなく、一部の特例制度の期限到来による影響も含まれる。
1かかった費用ではなく、あらかじめ決めた額
病院への支払いには、大きく二つの考え方があります。実際にかかった費用を後から精算する方法と、あらかじめ決めた額を支払う方法です。米国のメディケアが入院医療について採っているのは後者で、前払い支払い制度と呼ばれます。
支払額は診断群ごとに定められます。同じ診断群に分類される入院であれば、実際の処置の多寡にかかわらず原則として同じ額が支払われます。効率よく治療すればその差が病院に残り、費用がかさめば病院が負担することになります。
2支払額の組み立て
- 1標準額全国共通の基礎となる額。労働関係分と非労働関係分に分けられる
- 2地域調整労働関係分に、病院が所在する地域の賃金指数を乗じる
- 3特例の調整アラスカ州とハワイ州では、非労働関係分に生計費調整係数を乗じる
- 4診断群の重みこうして得た基礎率に、診断群ごとの相対的な重みを乗じる
人件費は地域によって大きく異なります。そこで支払額のうち労働に対応する部分だけを地域の賃金水準で調整し、物品などに対応する部分は調整しない、という組み立てになっています。同じ診断群でも、病院の所在地によって支払額が変わるのはこのためです。
32027会計年度の見込み
増加の内訳には、支払い率の引き上げだけでなく、期限が来て終了する特例制度の影響も含まれます。少数の患者しか扱わない病院やメディケア依存度の高い病院に対する特例が終了すると、その分の支払いはなくなります。全体では増加でも、個々の病院では減る場合があることになります。
4引き上げ幅への異論
本規則には、寄せられた意見も記録されています。運営支払い率の引き上げ幅について、複数の意見提出者が、提案された引き上げでは物価上昇や費用の増加に見合わないと述べました。人件費については契約労働の利用の増加や人材不足を、管理費については事前承認に伴う費用などを挙げています。支払い率を毎年決める制度では、その水準そのものが毎年の争点になります。
なぜ重要か
支払いの単位を「かかった費用」から「診断群ごとの定額」に変えると、効率化の成果が事業者に残る構造になる。地域の賃金水準を支払額に組み込む設計も、全国一律の制度を地域差に適合させる手法として参考になる。
よくある質問(FAQ)
前払い支払い制度とは何ですか?
なぜ同じ診断群でも支払額が違うのですか?
出典(一次情報)
出典:Federal Register(連邦政府文書=パブリックドメイン)。リンク先は公式サイトです。