H.R. 9985 下院法案 第119議会

選挙の「なりすまし」規定に生成AIを明記する法案 ― 対象を候補者から誰にでも広げる(H.R.9985)

米下院 最新の動き 2026年7月30日

H.R.9985「AI広告法案」は、連邦選挙運動法の「選挙運動上の権限の詐称」と「資金の詐欺的勧誘」の禁止に、生成AIで作られた内容を用いる場合を含むことを明記し、あわせて禁止の対象者と対象範囲を広げる下院法案である。2026年7月30日に下院行政委員会へ付託された。

法案の概要(一次情報)

  • 法案番号H.R. 9985
  • 種別下院法案
  • 議会第119議会
  • 最新の議会アクションReferred to the House Committee on House Administration.(2026-07-30)

要点

  • 連邦選挙運動法の詐称の禁止と資金の詐欺的勧誘の禁止に、生成AIで作られた内容を用いる場合を含むと明記する。
  • 新しい禁止を作るのではなく、既にある禁止の条文に文言を挿入する形をとっている。
  • 第3条は行為者の限定(候補者やその従業員・代理人)を削除し、誰の行為でも対象になるようにする。
  • 対象を候補者・政党から、実在または架空の政治委員会・団体まで広げ、損害要件の限定も外す。
  • 架空の政治団体を装って資金を集める行為も、正面から規制の対象に入る。
  • 同じ題名の法案が上院にも提出されており、片方だけを追うと審議の進み方を見誤ることがある。

1既にある禁止に、言葉を足す

この法案は、新しい禁止を作るのではなく、既にある禁止の条文に文言を挿入する形をとっています。連邦選挙運動法は、選挙運動上の権限を詐称することと、それを使って資金を勧誘することを既に禁じています。そこに「全部または一部が生成AIで作られた内容を用いる場合を含む」と書き足す、というのが第2条の内容です。

新しい禁止を作る既にある禁止に文言を足す(本法案)
何が禁止かを一から定義する既存の要件はそのまま使える
適用範囲をめぐる争いが生じうる生成AIを使った場合も含むことを明確にする

技術が新しくても、詐称という行為そのものは既に規制されている——その前提に立ち、適用の疑義を潰しに行く書き方です。

2対象者と対象範囲を二重に広げる

3条は、生成AIとは別の改正を行います。もともとこの禁止は「連邦公職の候補者またはその従業員・代理人」による行為を対象としていましたが、その限定を削除します。

  1. 1行為者の限定を外す候補者や陣営に限らず、誰の行為でも対象になる
  2. 2対象を広げる他の候補者・政党だけでなく、政治委員会や団体も対象に含める
  3. 3架空の団体も含める実在しない政治委員会・団体になりすます場合も対象にする
  4. 4損害要件を外す「損害を与える事項」という限定が外れる

この改正により、陣営外の第三者が架空の政治団体を装って資金を集めるような行為も、正面から規制の対象に入ります。生成AIによって、実在しない団体らしい発信を作ることの費用が下がっている状況を踏まえた改正と読めます。

3上下両院に同じ題名の法案がある

同じ題名の法案が上院にも提出されており、当サイトはその記録も保持しています。上下両院に同じ題名の法案が出るのは珍しくなく、当サイトが保持する記録のなかにも複数の組が存在します。片方だけを追っていると、審議の進み方を見誤ることがあります。

2026年9月2日時点で当サイトが保持する議会法案120件は、下院70件・上院50件に分かれています。本法案は委員会付託の段階にあり、下院行政委員会へ付託されています。

なぜ重要か

選挙に関わる広告や発信を扱う事業者にとって、生成AIで作られた内容が既存の詐称規定に明示的に含まれることは、確認の手順に直結します。行為者の限定が外れることで、候補者や陣営でない第三者による発信も対象に入り、掲載・配信の側にも判断が求められる場面が増えます。実在しない政治団体を装う発信の識別が、実務上の焦点になります。

よくある質問(FAQ)

この法案は何を新しく禁止しますか。
新しい禁止を作るのではなく、既にある詐称と資金の詐欺的勧誘の禁止に、生成AIで作られた内容を用いる場合を含むと明記します。
対象者はどう変わりますか。
候補者やその従業員・代理人という限定が外れ、誰の行為でも対象になります。対象も政治委員会や団体、架空の団体まで広がります。
上院にも同じ法案がありますか。
同じ題名の法案が上院にも提出されており、当サイトはその記録も保持しています。

出典(一次情報)

出典:Congress.gov(米国議会図書館・連邦立法資料=パブリックドメイン)。リンク先は公式サイトです。

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