SLASH価格法案(H.R.9371)― 「この価格はあなたの個人データを使ってアルゴリズムが決めました」と価格の隣に表示させ、離脱の仕組みも義務づける
同じ商品やサービスに異なる価格を付けるために個別化アルゴリズム価格を使う場合、その旨を消費者に開示させる下院法案。表示すべき文言まで法文に定められており、提示価格と同じ場所に目立つ形で示すことが求められる。離脱の仕組みと、離脱した消費者への差別の禁止も置かれている。
法案の概要(一次情報)
- 法案番号H.R. 9371
- 種別下院法案
- 議会第119議会
- 最新の議会アクションReferred to the House Committee on Energy and Commerce.(2026-06-18)
要点
- 個別化アルゴリズム価格を使う場合、その旨の開示を義務づける。表示すべき文言が法文に書かれている。
- 開示は提示される各価格と同じ場所に、目立つ形で示さなければならない。
- 離脱の仕組みを備え、請求に直ちに従い、離脱後の価格を明確に伝えることが求められる。
- 離脱した消費者への差別(提供拒否、価格引き上げ、品質の変更)は禁止される。
- 保険や信用、動的価格、広く定義された集団向けの割引制度などは適用の対象外とされる。
- 表示すべき文言と位置を法文に書き込み、離脱の仕組みと、離脱した消費者への差別の禁止まで定めている。
1表示すべき文言が法文に書かれている
この法案の特徴は、開示せよと定めるだけでなく、何と書くかまで法文に置いている点にある。「この価格はあなたの個人データを使ってアルゴリズムが決めました」という一文である。
表示の場所も指定されている。提示される各価格と同じ場所に、目立つ形で示すことが求められる。開示の内容と位置を事業者の裁量に委ねると、形式的には示されていても読まれない、という事態が起こりうる。文言と位置を書き込むことは、その余地を狭める設計にあたる。
2離脱できることまで含めている
開示だけでは、消費者は知るだけで終わる。この法案は、個別化アルゴリズム価格から離脱する仕組みを備えることと、その請求に直ちに従うことを求めている。離脱後に提示される価格を明確に伝えることも条件に入っている。
さらに、離脱を請求した消費者への差別を禁じている。提供を拒む、価格を引き上げる、品質を変えるといった行為が名指しされている。離脱できる建前があっても、離脱すると不利になるのであれば選択は成り立たない。その点まで書き込まれている。
3除外される範囲が明示されている
適用外とされるのは、保険や信用に関する役務と商品、動的価格の利用、そして教員・軍人・高齢者・学生・退役軍人といった広く定義された集団向けの割引制度などである。
動的価格を除いていることは、需給に応じて全員に同じように変わる価格と、個人ごとに変わる価格を分けているということである。前者は時間帯や在庫で動き、後者は相手が誰かで動く。同じ「価格が変わる」でも性質が違う。2026年9月1日時点で当サイトが保持するAI関連法案114件のうち、解説を付けていない44件では、義務づける(require)で始まる題名が9件ある。
4開示だけで終わらせない
この法案は、開示せよと定めるだけでなく、何と書くか、どこに置くか、そして知ったあとに何ができるかまでを条文に置いています。
- 1文言を法文に書く「この価格はあなたの個人データを使ってアルゴリズムが決めました」と定める
- 2位置を指定する提示される各価格と同じ場所に、目立つ形で示すことを求める
- 3離脱の仕組みを備えさせる請求に直ちに従い、離脱後に提示される価格を明確に伝える
- 4離脱者への差別を禁じる提供を拒む、価格を引き上げる、品質を変えることを名指しで禁じる
開示の内容と位置を事業者の裁量に委ねると、形式的には示されていても読まれない、という事態が起こりえます。また、離脱できる建前があっても、離脱すると不利になるのであれば選択は成り立ちません。適用外とされるのは、保険や信用に関する役務と商品、動的価格の利用、そして教員・軍人・高齢者・学生・退役軍人といった広く定義された集団向けの割引制度などです。
なぜ重要か
開示義務は、何をどこに書くかが定まらないと形骸化しやすい。文言と表示位置を法文に置く設計は、その余地を狭める。事業者から見れば、個別化した価格を出しているかどうかを自ら判定し、離脱後の価格まで用意する必要が生じる。動的価格との線引きが実務上の分かれ目になる。
よくある質問(FAQ)
何と表示するのですか?
動的価格も対象ですか?
離脱すると不利になりませんか?
出典(一次情報)
出典:Congress.gov(米国議会図書館・連邦立法資料=パブリックドメイン)。リンク先は公式サイトです。
- Congress.gov(法案ページ・原文)
- H.R. 9371(第119議会)