生成AIテロリスク評価法案(H.R.1736)― 下院を通過して上院の委員会に届いた後、同じ委員会に上院議員が同名の別法案を出した
国土安全保障省(DHS)に対し、生成AIがテロに用いられることで米国が受ける脅威の評価を定期的に議会へ提供させる下院法案。融合センターが集めた関連情報の確認と共有、他の連邦機関からDHSへの情報共有も定める。2025年2月に提出され、下院を通過して2025年11月に上院へ送付された。
法案の概要(一次情報)
- 法案番号H.R. 1736
- 種別下院法案
- 議会第119議会
- 最新の議会アクションReceived in the Senate and Read twice and referred to the Committee on Homeland Security and Governmental Affairs.(2025-11-20)
要点
1新しい権限ではなく、報告と情報の流れを定める
この法案が求めているのは、生成AIの規制ではなく、脅威の評価とその共有である。DHSが定期的に議会へ評価を届けること、融合センターが集めた情報をDHSが確認して普及させること、他の連邦機関がDHSと情報を共有すること。この三つが柱になっている。
融合センターは、連邦・州・地方・部族の機関が資源と情報を持ち寄る仕組みで、911以降に各地へ広がった。既存の情報共有の器を使い、そこに生成AIという主題を通す形をとっているため、新しい組織を作る必要がない。
2定義を先に置くかどうかで版が分かれる
生成AIの定義は、入力データの構造と特徴を模倣して派生的な合成コンテンツを生成するモデルの類型、という書き方になっている。画像・動画・音声・文章を並べて挙げ、特定の技術名を避けている。
対になる上院法案 S.4762 と本文を突き合わせると、上院版は独立した定義の条を持ち、全体が4条構成になっている。下院版は3条構成で、定義を本体の中に置く。差分は236行あるが、求めている評価と情報共有の骨格は共通している。
3上院に、同じ内容が二つの経路で存在している
下院版は2025年2月27日の提出から1年近くをかけて下院を通過し、2025年11月20日に上院で受理されて国土安全保障・政府問題委員会に付託された。その約7か月後の2026年6月11日、リック・スコット上院議員(共和・フロリダ州)が同じ題名の S.4762 を提出し、同じ委員会に付託されている。
つまりこの委員会には、下院を通過して送られてきた版と、上院議員が新たに提出した版の二つが並んでいることになる。2026年8月31日時点で当サイトが保持するAI関連法案114件のうち、同じ題名の法案が上下両院にある組は12組あるが、片方が既に他院へ送付済みという状態にあるのはこの組である。記録からは、両者がどのように扱われるかは分からない。
4同じ内容が二つの版で存在する
下院版と上院版を突き合わせると、求めている評価と情報共有の骨格は共通しています。違いは、定義をどこに置くかにあります。
差分は236行ありますが、DHSが定期的に議会へ評価を届けること、融合センターが集めた情報をDHSが確認して普及させること、他の連邦機関がDHSと情報を共有すること——この三つの柱は共通しています。国土安全保障・政府問題委員会には、下院を通過して送られてきた版と、上院議員が新たに提出した版の二つが並んでいることになります。
なぜ重要か
生成AIの安全性をめぐる議論は製品側の規制に集まりやすいが、この法案は情報を集めて評価する側の手順を定めている。既存の融合センター網に主題を通す形をとるため、新しい報告義務が民間に直接生じるわけではない。同じ内容が上院に二つの経路で存在している状態は、対の法案が必ずしも整理されて進むわけではないことを示している。
よくある質問(FAQ)
生成AIの利用を規制する法案ですか?
融合センターとは何ですか?
出典(一次情報)
出典:Congress.gov(米国議会図書館・連邦立法資料=パブリックドメイン)。リンク先は公式サイトです。
- Congress.gov(法案ページ・原文)
- H.R. 1736(第119議会)