人工呼吸器16万8千台が回収対象に ― 基板上の部品からの電解液漏れが充電チップを傷め、換気治療が止まりうる
米食品医薬品局(FDA)の回収記録によると、ResMed社の人工呼吸器 Astral 100/150 について、プリント基板上のスーパーキャパシタから電解液が漏れて充電チップを損傷し、フェイルセーフ状態に入って換気治療が中断されうるとして、全世界で168,069台が回収の対象となった。分類は最も重いClass I。
リコールの概要(一次情報)
- 分類クラスI(最も重大)
- 対象種別医療機器
- 回収企業ResMed Ltd.
- 理由Due to a Supercapacitor electrolyte leakage on Printed Circuit Board Assembly (PCBA) may damage the charger chip, causing fail-safe state and interruption of ventilation therapy.
- 流通範囲Worldwide - U.S. Nationwide distribution including in the states of AK, AL, AR, AZ, CA, CO, CT, DC, FL, GA, IA, ID, IL, IN, KS, KY, LA, MA, MD, ME, MI, MN, MO, MS, MT, NC, ND, NE, NH, NJ, NM, NV, NY,...
- 回収開始日2026-06-25
要点
1止まってはいけない装置が止まりうる
人工呼吸器は、自力での呼吸が十分でない人に対して、連続的または断続的に換気を補助する装置です。止まったときの帰結が直ちに重大になるという点で、他の医療機器とは性格が異なります。今回の回収は、その装置が「安全に停止する」方向へ入ってしまう可能性を理由としています。
2電解液の漏れから換気の中断まで
- 1起点プリント基板組立体の上にあるスーパーキャパシタから電解液が漏れる
- 2波及漏れた電解液が充電チップを損傷しうる
- 3結果装置がフェイルセーフ状態に入る
- 4影響換気治療が中断されうる
小さな受動部品ひとつの経年劣化が、電源系を経由して装置全体の停止につながるという連鎖です。フェイルセーフは本来、異常時に危険な動作を避けるための仕組みですが、生命維持に関わる装置ではその停止自体が問題になります。
3数量が示す広がり
回収の対象数量は全世界で168,069台と記録されています。2026年9月2日時点で当サイトが保持するFDAの回収記録1,408件のうち、最も重い分類であるClass Iは319件、次のClass IIは1,089件です(Class IIIの記録はありません)。製品種別では医療機器が779件と最も多く、食品341件、医薬品288件と続きます。
医療機器の回収は件数でも最多ですが、この事案のように在宅・施設で使われる装置が数十万台単位で対象になる場合、影響の広がり方が他と異なります。
4回収は誰が始めるのか
この事案は「企業の自主回収」として着手されています。回収というとFDAが命じるものという印象を持たれがちですが、実際にはそうではありません。2026年9月2日時点で当サイトが保持する1,408件のうち、企業の自主的な着手が1,392件を占め、FDAによる命令は8件にとどまります(記載のないものが8件)。
制度は、企業が問題を見つけて自ら申し出ることを前提に組み立てられており、FDAはその分類と公表を担う位置にあります。装置の使用や交換に関する具体的な対応は、必ず医療専門家とFDAおよび製造販売元の公式情報にしたがってください。
なぜ重要か
生命維持に関わる装置において、受動部品ひとつの経年劣化が電源系を経て装置停止につながる連鎖を示した事例。在宅・施設で使われる装置が数十万台単位で対象になるため、代替機の確保と交換の段取りが医療提供側の実務課題になる。
よくある質問(FAQ)
フェイルセーフ状態に入るのは安全なのでは?
Class Iとはどういう分類ですか?
出典(一次情報)
出典:openFDA(米国FDA・CC0 パブリックドメイン)。データは無保証で、医療判断には用いないでください。最新・正確な情報は FDA公式のリコール情報をご確認ください。本サイトは米国FDAに推奨・認定されたものではありません。
- FDA リコール情報(公式)
- openFDA(データ提供元)
- リコール番号: Z-2735-2026