呼気弁の膜が貼り付き、息を吐き出せなくなるおそれ ― 機器の理由に「けが」は56件、「死亡」は4件(人工呼吸器の回路27,270個)
HAMILTON-C1/T1/MR1 人工呼吸器に使う同軸型の呼吸回路セットで、呼気弁セットの膜が弁体に貼り付くおそれがある。記録は、この不具合が使用前テストでは検出できないと明記している。換気不足と酸素飽和度の低下につながりうるとしてクラスIに分類され、全米43州とプエルトリコに27,270個が流通した。
リコールの概要(一次情報)
- 分類クラスI(最も重大)
- 対象種別医療機器
- 回収企業Hamilton Medical AG
- 理由Ventilator coaxial breathing circuit may have, expiratory valve sets with membranes sticking to valve body, not detectable during pre-operative test, which will result in "exhalation obstructed " alarm, which may result in inadequate ventilation, oxygen desaturation. Advising: Prior to use, test lung action. If alarm occurs, expiratory valve set removal to overcome membrane adhesion or replacement
- 流通範囲US Nationwide distribution including in the states of KS, WA, VT, TX, WI, AR, OH, PA, CA, CO, ID, AZ, ME, MO, MI, IL, OR, VA, FL, NJ, SD, NY, NM, TN, CT, NE, OK, AL, GA, KY, NH, WY, ND, IN, UT, WV, DE...
- 回収開始日2026-05-29
要点
- 対象はHAMILTON-C1/T1/MR1 人工呼吸器に使う同軸型呼吸回路セット(REF 260127、260128、260167、260168)27,270個。
- 呼気弁セットの膜が弁体に貼り付くおそれがあり、「呼気閉塞」アラーム、換気不足、酸素飽和度の低下につながりうる。
- 記録は、この不具合が使用前テストでは検出できないと明記している。
- 企業は使用前にテスト肺で動作を確認し、アラームが出た場合は呼気弁セットの取り外しか交換を行うよう案内している。
- 2026年8月28日時点で当サイトが保持する回収記録1,408件のうち、検出できないという趣旨を理由に含むのはこの1件だけ。
- 2026年9月1日時点で当サイトが保持するFDAの回収記録のうち医療機器779件では、理由に「けが」が書かれたものが56件、「死亡」が4件。
1人工呼吸器の回路で「息を吐く側」に何が起きるか
人工呼吸器は空気を送り込むだけの装置ではない。送った空気が肺から出ていく経路も同じだけ重要で、その出口にあるのが呼気弁である。ここに使われる膜が弁体に貼り付いてしまうと、吐いた空気の通り道が塞がる。装置はそれを検知して「呼気閉塞」のアラームを鳴らすが、アラームが鳴るということは、その時点で換気が不十分になっているということでもある。患者の側から見れば、酸素飽和度の低下という形で現れうる。
2使用前テストをすり抜けるという性質
この記録で最も重い一文は、その不具合が使用前テストでは検出できないという記述である。医療機器の安全は、使う前に点検する手順を踏むことで担保される部分が大きい。その点検で見つからないなら、確認の手順は正しく踏まれているのに危険が残ることになる。
企業はテスト肺での動作確認と、アラームが出た場合の呼気弁セットの取り外し・交換を案内しているが、これは不具合を事前に検出するというより、起きたときの対処を先に知らせておくという性格の案内である。
3「検出できない」と明記された回収は1,408件中1件
2026年8月28日時点で当サイトが保持するFDAの回収記録1,408件のうち、回収理由に検出できないという趣旨の記述を含むものは、この1件だけである。医療機器の回収779件の多くは、破損、漏れ、表示の誤り、無菌性の欠如といった、確認すれば分かる不具合を挙げている。確認しても分からないと企業自身が書いた記録は、それらとは性質が異なる。
なお、膜の貼り付きがどの程度の割合で生じるのか、実際に健康被害が起きたのかは、この記録には含まれていない。
4機器の理由が書く「結果」
2026年9月1日時点で当サイトが保持するFDAの回収記録のうち医療機器は779件あります。回収の理由に、起こりうる結果として「けが(injury)」が書かれているものは56件、「死亡(death)」が書かれているものは4件です。
多くの記録は不具合の内容だけを書き、その先に何が起きるかまでは書きません。結果まで書かれた記録は、企業が危害の想定を明示したことを意味します。この記録のように、患者が息を吐き出せなくなるという経路が読み取れるものは、機器の回収のなかでも限られます。
なぜ重要か
使用前点検で検出できる不具合と、できない不具合は、現場での意味がまったく違う。前者は手順の徹底で防げるが、後者は起きたときの対処手順をあらかじめ配っておくしかない。企業が案内しているのが検出方法でなくアラーム発生時の対処である点は、その性質を反映している。
よくある質問(FAQ)
呼気弁とは何ですか?
使用前テストで見つからないとはどういう意味ですか?
実際に健康被害は起きたのですか?
出典(一次情報)
出典:openFDA(米国FDA・CC0 パブリックドメイン)。データは無保証で、医療判断には用いないでください。最新・正確な情報は FDA公式のリコール情報をご確認ください。本サイトは米国FDAに推奨・認定されたものではありません。
- FDA リコール情報(公式)
- openFDA(データ提供元)
- リコール番号: Z-2463-2026