訂正報告が10件そろって同じ項目を直している ― 人事は先に出し、報酬は後から追いかけて開示される
Appleは2026年4月に開示した最高経営責任者の交代計画について、報酬の取り決めを追加する訂正報告(8-K/A)を提出した。2026年9月2日時点で当サイトが保持する8-K/Aは10件あり、そのすべてが同じ項目5.02(役員の異動・報酬の取り決め)を修正している。
提出書類の基本情報
- 企業Apple Inc.(AAPL)
- 書類臨時報告 8-K
- 市場Nasdaq
- 業種(SIC)Electronic Computers
- 提出日2026-09-01
- 対象期2026-04-17
- 8-K事象5.02 取締役・執行役員の異動/報酬
- 受付番号0001140361-26-035325
要点
- Appleが2026年4月20日提出の8-Kで公表した最高経営責任者の交代計画について、報酬の取り決めを追加する修正報告(8-K/A)を提出した。
- 2026年9月2日時点で当サイトが保持するSEC開示644件のうち8-K/Aは10件で、そのすべてが項目5.02を修正している。
- 人事の発表と報酬の決定には時間差があり、本件でも公表が4月、報酬の開示が9月と約4か月空いている。
- ターナス氏は年間給与300万ドル、2027会計年度の株式報酬は目標価値5,500万ドル(業績連動型75%・時間基準型25%)。
- クック氏は年間給与200万ドル、株式報酬は目標価値4,500万ドル(業績連動型と時間基準型が半分ずつ)。
1訂正報告という様式
8-Kにはすでに提出した内容を直す「8-K/A」という様式があります。Aは Amendment(修正)の頭文字です。誤りを正す場合にも使われますが、当サイトが保持する記録を見るかぎり、実際の用途はもっと限定されています。
10件すべてが項目5.02を直しています。ここまで揃うのは偶然ではありません。人事の発表と、その人の報酬をいくらにするかの決定は、時間差で起こるからです。
2先に人事、後に報酬
役員の交代は、決まった時点で速やかに開示する必要があります。ところが新しい役職に対する給与や株式報酬の中身は、報酬委員会での審議を経て後から確定します。原報告の時点では書けないため、確定してから修正報告で足すことになります。本件でも、交代計画の公表が4月、報酬の開示が9月と、約4か月の間隔が空いています。
3開示された報酬の中身
| 対象 | 年間給与 | 2027会計年度の株式報酬(目標価値) | 構成 |
|---|---|---|---|
| ジョン・ターナス氏(最高経営責任者) | 300万ドル(移行日から) | 5,500万ドル | 業績連動型75%・時間基準型25% |
| ティム・クック氏(取締役会執行会長) | 200万ドル(2026年9月26日から) | 4,500万ドル | 業績連動型50%・時間基準型50% |
業績連動型のRSUは、S&P500構成企業に対する株主総利回りに応じて権利が確定します。自社の株価が上がったかどうかではなく、他社と比べてどうだったかで決まる設計です。時間基準型は4年にわたり半年ごとに12.5%ずつ確定します。就任するターナス氏のほうが業績連動の比率が高く、執行会長に退くクック氏は半々という差が付けられています。
4報酬の設計を読む視点
給与そのものの金額は、株式報酬の目標価値に比べれば小さいことが分かります。ターナス氏の場合、年間給与300万ドルに対し年次株式報酬の目標価値は5,500万ドルで、18倍以上の開きがあります。役員報酬の大半が株式で支払われ、しかもその多くが他社との比較で確定するという構造は、開示文書を読むことではじめて分かる部分です。
なぜ重要か
役員報酬の大半が株式で支払われ、その多くが他社との比較で権利確定するという設計は、開示文書を読むことではじめて分かる。人事と報酬が別々の文書に分かれる以上、原報告だけを見ても全体像はつかめない。
よくある質問(FAQ)
なぜ8-K/Aが項目5.02ばかりなのですか?
出典(一次情報)
本記事は下記の米国SEC公式開示に基づく独自整理です。正確・最新の内容は必ず原文をご確認ください。
- SEC EDGAR(提出書類インデックス)
- 主要書類(原文)
- 受付番号:0001140361-26-035325