約168.9万ドル Tools, Inform & Func Geno

NSF助成 約169万ドル:植物ゲノムの「読み始めスイッチ」をAIで予測し作物改良へ ― BIO-AI(ミシガン州立大)

Michigan State University ミシガン州 開始 2026年9月

ミシガン州立大学への約169万ドル($1,689,412)のNSF助成。植物の各細胞は同じ遺伝情報を持つが、遺伝子を「どこから読み始めるか」(転写開始サイト=TSS)が、遺伝子のオン・オフとどのタンパク質を作るかを左右するスイッチになる。しかしこのスイッチの位置を植物種横断で示した完全な地図はまだない。本研究はDNA配列からTSS位置と基本プロモーター構造を予測する機械学習フレームワーク BioLearnTSS を開発し、藻類から作物まで横断的に検証。トウモロコシを中心に、TSS選択が splicing や翻訳効率をどう変えるかも解明する。期間は2026年9月から2029年8月まで。

助成の概要(一次情報)

  • 交付額約168.9万ドル($1,689,412)
  • 受給機関Michigan State University(ミシガン州)
  • プログラムTools, Inform & Func Geno
  • 期間2026-09-01 〜 2029-08-31
  • 資金提供米国科学財団(NSF) / NSF

要点

  • 受給機関はミシガン州立大学、約169万ドル、期間2026年9月〜2029年8月(BIO-AIプログラム)
  • 転写開始サイト(TSS)=遺伝子のオン・オフとどの版のタンパク質を作るかを決めるスイッチだが植物横断の完全な地図が無い
  • DNA配列からTSS位置と基本プロモーター構造を予測する機械学習フレームワーク BioLearnTSS を開発
  • 顕花植物で訓練→針葉樹・緑藻・コケで汎化検証/代替TSS使用が splicing・翻訳効率をどう変えるかをトウモロコシ中心に解明
  • トウモロコシ・シロイヌナズナのゲノム編集で検証=データ・ツール・編集資源を公開し農業革新へ

本助成の面白さは、AIの応用先を「言語や画像」でなく「植物ゲノムの読み始め方」に据えた点にある。BIO-AIというプログラム名が示す通り、機械学習を生物学の未解決問題にぶつける試みだ。

1同じゲノムを細胞ごとに使い分ける

出発点の生物学がよくできている。植物の各細胞は同じ遺伝的青写真(ゲノム)を持つのに、細胞ごとに違う使い方をする。その制御の鍵が、遺伝子を「どこから読み始めるか」=転写開始サイト(transcription start site, TSS)だ。TSSは、遺伝子がいつオンになるかだけでなく、最終的にどの版のタンパク質を作るかまで左右するスイッチとして働く。

ところが、これほど中心的なスイッチの位置を、藻類から作物までの植物の多様性を横断して示した完全な地図は、まだ存在しない。

2BioLearnTSS という枠組み

本研究の中核は BioLearnTSS という機械学習フレームワークである。DNA配列から直接、TSSの位置と基本プロモーター(core promoter)の構造を予測する。顕花植物の既存データで訓練し、針葉樹・緑藻・コケという系統的に離れた植物で汎化性を試す設計は、「配列から機能を読む」現代ゲノミクスとAIの合流点そのものだ。

加えて、代替的なTSSの使用が splicing(スプライシング)や翻訳効率を変えてプロテオーム(作られるタンパク質の全体)をどう形作るかを、トウモロコシを主対象に調べる。

3トウモロコシとシロイヌナズナでの検証

実験も伴う。トウモロコシとモデル植物シロイヌナズナのゲノム編集を使い、基本プロモーター内の特定の調節DNA要素が、TSS選択・遺伝子発現・タンパク質産生にどう影響するかを直接検証する。

研究は3つの狙い——①多様な系統でのTSS予測モデルの開発・検証、②代替TSS使用の splicing・翻訳への影響、③基本プロモーター要素がTSS選択・mRNA蓄積・splicing を形作る仕組み——に整理されている。

なぜ重要か

配列から機能を予測するAIを植物ゲノミクスに応用し、作物改良につなぐ「AI for Science × 農業」の事例。DNA配列からの機能予測モデルと系統横断の汎化検証という設計は、ゲノミクス・農業バイオ・配列基盤モデルの動向を追う読者の参照点になる。

よくある質問(FAQ)

転写開始サイト(TSS)とは何ですか。
遺伝子のDNAを「どこから読み始めるか」の起点です。同じ遺伝子でも読み始める位置が変わると、いつオンになるか、どの版のタンパク質ができるかが変わります。遺伝子制御の重要なスイッチです。
なぜAI(機械学習)を使うのですか。
TSSの位置を植物種横断で実験的に地図化するのは膨大な労力がかかります。DNA配列から直接TSSを予測するモデルを作れば、未計測の植物にも予測を広げられ、地図づくりを大きく加速できます。
農業にどう役立つのですか。
本研究はトウモロコシを主要対象とし、成果を農業的に重要な作物の理解・改良に直接関係づけています。遺伝子制御の理解が進めば、収量や環境応答に関わる形質の改良に将来つながりうる基礎になります。

出典(一次情報)

出典:NSF Award Search(米国科学財団・パブリックドメイン)。金額は交付額(obligated)。個人情報保護のため研究代表者名は扱っていません。

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