「想定外」に強いAIを目指すSAIL-ON ― 連邦契約(USAspending)
国防総省が、未知の状況(オープンワールドの新規事象)に対応できるAIの研究「SAIL-ON」を発注。受注はKitware。決められた範囲でしか動けない従来AIの弱点に挑む基礎研究の事例。
契約の基本情報
- 受注者KITWARE INC
- 契約額$4,914,017(約491.4万ドル)
- 発注機関Department of Defense
- 発注部局Defense Contract Management Agency
- 契約種別DEFINITIVE CONTRACT
- 履行期間2019-11-21 〜 2025-06-18
- 契約番号(PIID)HR001120C0055
契約の概要(原文)
SCIENCE OF ARTIFICIAL INTELLIGENCE AND LEARNING FOR OPEN-WORLD NOVELTY (SAIL-ON)
要点
- 国防総省発注の基礎研究プログラム「SAIL-ON」=想定外の事象に強いAIを目指す
- プログラム名は「オープンワールドの新規事象に対するAIと学習の科学」の意
- 鍵は未知の状況を「検知」し、その場で「適応」させる仕組み
- 決められた範囲でしか動けない従来AIの弱点に挑む取り組み
- 具体的な手法・応用領域は原文に記載がない
今日のAIの多くは、学習時に与えられた範囲の中では高い性能を出す一方、想定外の事象に出くわすと急にもろくなる。ルールが途中で変わる、見たことのない物体が現れる——こうした「オープンワールド(開かれた世界)の新規事象(ノベルティ)」への弱さは、現実世界でAIを使ううえで大きな課題とされてきた。本件「SAIL-ON」は、まさにこの問題に正面から取り組む研究プログラムだ。
プログラム名を直訳すると「オープンワールドの新規事象に対するAIと学習の科学」となる。鍵は、未知の状況を『検知』し、その場で振る舞いを『適応』させる仕組みをAIに持たせることにある。決められた条件下での精度を競うのではなく、条件そのものが崩れたときにどう立て直すか——いわばAIの「対応力・粘り強さ」を科学的に解き明かそうとする狙いがうかがえる。具体的にどの手法やどの応用領域を対象とするかは原文に記載がないため、ここでは踏み込まない。
横断的に見れば、これは特定の製品を作る契約ではなく、AIの土台となる頑健性(ロバスト性)を底上げしようとする基礎研究にあたる。想定外に強いAIは、自動運転・防衛・災害対応など「現場が教科書どおりに進まない」あらゆる領域で価値を持つ。本件は、米国がそうした次世代AIの基礎をどこに賭けているかを示す一例だ。
なぜ重要か
想定外に強いAIは、自動運転・防衛・災害対応など現場が教科書どおりに進まない領域で広く価値を持つ。本件は、米国が次世代AIの基礎研究のどこに投資しているかを追ううえで手がかりになる。
よくある質問(FAQ)
「オープンワールドの新規事象(ノベルティ)」とは?
これは製品開発の契約ですか?
出典(一次情報)
本記事は下記の米国政府公式の支出データに基づく独自整理です。正確・最新の内容は公式をご確認ください。
- USAspending(契約の詳細)
- 契約番号(PIID):HR001120C0055