SRI International による DARPA「SAIL-ON」開放世界の新規性に対応するAI研究 ― 連邦契約(USAspending)
米国防総省 DARPA が SRI International に発注した、訓練時に想定しなかった未知の状況にも気づき適応できるAIの基礎科学を研究開発する契約です。契約額は約388万ドルです。
契約の基本情報
- 受注者SRI INTERNATIONAL
- 契約額$3,879,892(約388万ドル)
- 発注機関Department of Defense
- 発注部局Defense Advanced Research Projects Agency
- 契約種別DEFINITIVE CONTRACT
- 履行期間2019-11-15 〜 2022-06-14
- 契約番号(PIID)HR001120C0021
契約の概要(原文)
THE SCIENCE OF ARTIFICIAL INTELLIGENCE AND LEARNING FOR OPEN-WORLD NOVELTY (SAIL-ON) PROGRAM WILL RESEARCH AND DEVELOP THE UNDERLYING SCIENTIFIC PRINCIPLES AND GENERAL ENGINEERING TECHNIQUES AND ALGORITHMS NEEDED TO CREATE AI SYSTEMS.
要点
今日のAIの多くは、あらかじめ与えられた訓練データに含まれる状況の範囲内では高い性能を発揮します。一方で、訓練時に想定していなかった種類の状況、すなわち「新規性(novelty)」と呼ばれる未知の出来事に直面すると、性能が大きく崩れたり、誤りに気づかないまま自信を持って間違えたりすることが知られています。この契約が属する DARPA の「SAIL-ON(Science of Artificial Intelligence and Learning for Open-World Novelty=開放世界の新規性に対応するAIと学習の科学)」は、こうした「閉じた世界(あらかじめルールと選択肢が決まっている世界)」を前提にした弱さを克服し、ルールや前提が途中で変わりうる「開放世界(open world)」でも機能するAIを目指す研究プログラムです。
ここで重要なのは、特定の応用製品を作ることではなく、その土台となる「科学的原理」と「一般的な工学手法・アルゴリズム」を確立しようとしている点です。つまり、ある分野でだけ使える応急的な工夫ではなく、未知に気づく仕組み、状況の変化を表現する仕組み、変化に合わせて振る舞いを調整する仕組みといった、分野を横断して再利用できる基礎技術を整えることが狙いです。基礎研究への投資は、その成果が論文・手法・概念として広く共有され、後続の多くの研究や実装の出発点になりうるという点で、社会的な波及効果が大きい領域だと言えます。
この契約の発注者である DARPA は、実用化の手前にある高リスク・高インパクトの研究に集中的に資金を投じる米国防総省の機関です。受注者の SRI International は、長年にわたり政府や民間の委託研究を担ってきた独立系の研究機関であり、こうした基礎研究型のプログラムの担い手としての役割を引き受けています。連邦契約という公的な調達の枠組みを通じて、納税者の資金が具体的にどの研究テーマへ、どの機関へ、いくらの規模で配分されたかを追跡できる点に、この記録の横断的な意味があります。なお、本契約から生まれた具体的な成果物や技術的到達点については原文データに記載がないため、ここでは触れていません。
なぜ重要か
想定外の状況に弱いという現行AIの根本的な限界に対し、その克服に向けた基礎科学へ公的資金がどの機関にいくら配分されたかを示す記録です。基礎研究の成果は分野を越えて広く再利用されうるため、AIの信頼性や安全性を考えるうえで出発点となる動きを追える点に意義があります。
よくある質問(FAQ)
「新規性(novelty)」とは何を指しますか。
この契約でどんな製品が作られたのですか。
DARPA とはどのような機関ですか。
出典(一次情報)
本記事は下記の米国政府公式の支出データに基づく独自整理です。正確・最新の内容は公式をご確認ください。
- USAspending(契約の詳細)
- 契約番号(PIID):HR001120C0021