「今年は変えません」と公表する義務 ― 制裁金の上限をインフレに合わせて毎年見直す仕組み(2026年7月)
米証券取引委員会が、証券関係の法律にもとづく民事制裁金の上限について、2026年はインフレ調整を行わないと公表しました。法律が毎年の調整と官報での公表を全省庁に義務づけているため、調整しない場合もその旨を告示する必要があります。
文書の概要(一次情報)
- 文書種別告示
- 発行機関証券取引委員会
- 引用91 FR 41722
要点
- 2015年の法律が、民事制裁金の毎年のインフレ調整と、調整後の額の官報への掲載をすべての省庁に義務づけています。
- 2026年4月17日付の行政管理予算局の指針に従い、2026年はインフレ調整を行わないと公表されました。
- 2025年1月に公表された上限額が、2015年11月2日より後の違反に対し2025年1月15日より後に科される制裁金へ引き続き適用されます。
- 対象は1933年証券法、1934年証券取引所法、1940年投資会社法、1940年投資顧問法、および2002年サーベンス・オクスリー法の一定の制裁金です。
- 2026年9月4日時点で当サイトが保持する7,023件のうち同委員会が筆頭の記録は669件(9.5%)ですが、規則・規則案は1.3%にとどまり、自主規制機関の届出が462件を占めます。
1変えないことも、公表しなければならない
制裁金の上限は、法律に金額が書き込まれています。そのままにしておくと、物価が上がるにつれて実質的な重さが下がっていきます。そこで2015年の法律は、各省庁に対し、所管する法律の民事制裁金を毎年インフレに合わせて調整し、その額を官報に載せることを義務づけました。義務は「調整すること」だけでなく「公表すること」にも及びます。だから、調整しないという結論になった年も、その旨を官報に出すことになります。
- 1義務法律が、毎年の調整と官報での公表をすべての省庁に求める
- 2指針行政管理予算局が、その年の調整の扱いについて指針を出す
- 3判断2026年4月17日付の指針に従い、2026年は調整を行わないとされる
- 4公表調整しないという結論を、告示として官報に載せる
2証券取引委員会のページを開いても、規則はほとんど出てこない
件数では3番目に多いのに、規則にあたるものは1.3%しかありません。では何が並んでいるのかというと、その多くは自主規制機関、つまり取引所などが自分たちの規則を変えるために出す届出です。2026年9月4日時点で当サイトが保持する7,023件のうち462件を数え、全体の6.6%を占めます。規制の実務が、当局が書く規則ではなく、規制される側が出す届出の形で流れているということです。
3いつの違反に、いつの上限が当たるのか
この告示で細かいながら重要なのは、日付の書き分けです。適用されるのは、2015年11月2日より後に発生した違反に対して、2025年1月15日より後に科される制裁金だとされています。違反が起きた時点と、制裁金が科される時点が別々に指定されており、どちらか一方だけでは適用の可否が決まりません。金額そのものは動かない年でも、こうした条件は毎年の告示の中で確認できる形になっています。
なぜ重要か
金額を法律に書き込むと、物価の変化で実質的な重さが変わってしまう。毎年の調整を義務づけ、調整しない年も公表させるという設計は、その変化を放置しないための仕組みである。一方で、件数の多い規制当局が必ずしも規則を多く出しているとは限らず、規制の実務が規制される側の届出として流れている領域があることも、官報を数えると見えてくる。
よくある質問(FAQ)
なぜ調整しない年も公表するのですか?
いつ起きた違反に適用されるのですか?
証券取引委員会は官報に規則を出さないのですか?
出典(一次情報)
出典:Federal Register(連邦政府文書=パブリックドメイン)。リンク先は公式サイトです。