FDAクラスIリコール:Omnipod(Eros)ポッドのカニューレ損傷でインスリンが漏れ、投与不足のおそれ(Insulet)
米FDAは、Insulet社のパッチ式インスリンポンプ「Omnipod(Eros)ポッド」について、製造工程で外側の軟らかいカニューレが損傷し、インスリンが体内に入らずポッドの周囲へ漏れるおそれがあるとして、最も重大なクラスIに分類した。対象は289,046個で、米国と20か国に流通した。
リコールの概要(一次情報)
- 分類クラスI(最も重大)
- 対象種別医療機器
- 回収企業Insulet Corporation
- 理由External soft cannula damage during manufacturing that results in insulin leaking around the Pod instead of being delivered to the user regardless of basal or bolus delivery. The primary failure mode is pump under-delivery due to loss of insulin to an external leak. If insulin is not delivered properly, users may experience high blood glucose levels due to under-delivery of insulin. In the most severe cases, prolonged and persistent high blood glucose levels can lead to diabetic ketoacidosis (DKA), hyperglycemic hyperosmolar syndrome (HHS), or even death.
- 流通範囲Worldwide distribution - US Nationwide and the countries of Austria, Australia, Belgium, Canada, Switzerland, Germany, Denmark, Finland, France, UK, Greece, Israel, Italy, Kuwait, Leichtenstein, Nethe...
- 回収開始日2026-05-20
要点
1パッチ式インスリンポンプの仕組み
Omnipod は、チューブを使わずに体に直接貼り付けて使うパッチ式のインスリンポンプです。ポッドと呼ばれる小型の本体の中にインスリンを充填し、皮下に挿入した細く軟らかい管(カニューレ)を通じて、一日を通じた基礎インスリン(basal)と食事などに合わせた追加インスリン(bolus)を送り込みます。
カニューレは体内へインスリンを届ける唯一の経路であり、ここが損傷すると、ポンプ本体が正常に作動していてもインスリンは体内に入らず外へ漏れてしまいます。
2「動いているのに届いていない」故障
FDAの記録が「利用者はポンプが動作していると認識しうるが、実際にはインスリンが届いていない」という構図を示している点が、この不具合の本質です。基礎投与でも追加投与でも同じように漏れが起こるため、投与量を増やして補正しようとしても効果が得られにくい状況が生じます。
結果として起きるのが高血糖であり、それが長く続いた場合の帰結として、FDAは糖尿病ケトアシドーシス(DKA)と高血糖高浸透圧症候群(HHS)、そして最も重い場合の死亡を挙げています。DKAはインスリン不足によって体が脂肪を分解し、血液が酸性に傾く重篤な状態を指します。
329万個・20か国に及ぶ規模
規模も特徴的です。対象は289,046個で、流通は米国全土に加えてオーストリア、オーストラリア、ベルギー、カナダ、スイス、ドイツ、デンマーク、フィンランド、フランス、英国、ギリシャ、イスラエル、イタリア、クウェート、リヒテンシュタイン、オランダ、ノルウェー、サウジアラビア、スウェーデン、トルコに及びます。
インスリンポンプは生活に組み込まれた常時使用の機器であり、対象ロットの特定が利用者側で必要になるため、企業側の初期通知手段としてプレスリリースが用いられた点も記録に残っています。
なぜ重要か
インスリンポンプのように生活へ常時組み込まれた機器では、「停止する故障」より「動作しているように見えて機能していない故障」の方が発見が遅れやすく、影響も深くなります。本件は製造工程に起因する不具合が29万個規模・20か国超へ広がった事例であり、UDIとロット単位で対象を即座に特定できる仕組み、利用者へ直接届く告知経路(本件ではプレスリリース)、そして代替の投与手段を確保する運用が、機器メーカーと医療現場の双方にとって備えの要点になります。
よくある質問(FAQ)
カニューレとは何ですか。
なぜクラスIという最も重い分類になったのですか。
日本は流通先に含まれますか。
出典(一次情報)
出典:openFDA(米国FDA・CC0 パブリックドメイン)。データは無保証で、医療判断には用いないでください。最新・正確な情報は FDA公式のリコール情報をご確認ください。本サイトは米国FDAに推奨・認定されたものではありません。
- FDA リコール情報(公式)
- openFDA(データ提供元)
- リコール番号: Z-2605-2026