科学とAIの「裾野」を支える国家共有スパコン「Expanse 2」 ― NSF AI助成 $1,000万(UCサンディエゴ)
米NSFが、カリフォルニア大サンディエゴ校(UCSD)のサンディエゴ・スーパーコンピュータセンター(SDSC)による次世代スパコン「Expanse 2」の整備に約1,000万ドルを助成。最新のプロセッサ・アクセラレータと高速Ethernet網を備え、データ集約型の研究を全米の幅広い研究者(科学とAIの「ロングテール」)に提供する国家資源。
助成の概要(一次情報)
- 交付額約1,000万ドル($10,000,000)
- 受給機関University of California-San Diego(カリフォルニア州)
- プログラムInnovative HPC
- 期間2026-06-01 〜 2028-05-31
- 資金提供米国科学財団(NSF) / NSF
要点
米国科学財団(NSF)は、カリフォルニア大学サンディエゴ校(UCSD)のサンディエゴ・スーパーコンピュータセンター(SDSC)による次世代スパコン「Expanse 2」に約1,000万ドル($10,000,000)を交付した(NSF Award 2614012、プログラム:Innovative HPC、期間2026年6月〜2028年5月)。
1Expanse 2 が備える性能
抄録によれば、Expanse 2は複数ペタフロップス毎秒(multi-Petaflop/s)の計算性能を持つシステムで、最新世代のプロセッサとアクセラレータ(GPU等)に加え、データ集約型のワークロードを支える高度なEthernetベースの相互接続網を組み合わせる。研究開発上の国家的優先課題に応えるもので、米国の競争力向上を目標に掲げる。
支える研究領域として抄録は、電子チップの設計自動化(EDA)、AIによる創薬の加速、デジタル農業へのAI応用、核融合における不安定性・乱流の研究、オープンな推論(inference)モデルなどを挙げる。
2「Expanse」の後継としての位置づけ
名称が示すとおり、これは既存の共有スパコン「Expanse」の後継にあたる。タイトルの「科学とAIイノベーションのロングテール(long tail)を引き続き支える」が示すのは、巨大プロジェクトだけでなく、中小規模ながら数の多い多様な研究——いわば研究の「裾野」——に計算資源を行き渡らせるという設計思想だ。
3交付額のなかでの位置
2026年9月1日時点で当サイトが保持するNSFのAI関連助成120件について、交付額の中央値は約196万ドルです。最小は100万ドル、最大は1,100万ドルでした。
大半は100万〜300万ドルの範囲に収まります。この助成の1,000万ドルは最大に近く、120件のなかでも突出した規模です。共有の計算資源を作る種類の助成は、研究テーマ1件あたりの助成とは桁が違い、同じ一覧に並んでいても性質が異なります。
なぜ重要か
AIの計算需要が急増するなか、国が共有スパコンを「公共財」として整え分野横断で開放する動きの具体例。計算資源の格差是正という観点は、研究インフラ政策やAIの基盤整備を考えるうえで広く参考になる。
よくある質問(FAQ)
「科学のロングテール」とは?
アクセラレータとは?
出典(一次情報)
出典:NSF Award Search(米国科学財団・パブリックドメイン)。金額は交付額(obligated)。個人情報保護のため研究代表者名は扱っていません。
- NSF Award(原文・公式)
- NSF Award ID: 2614012