約134.9万ドル Software Institutes

AI・HPCの「電力と性能の交換」を利用者が選べるようにする ― 消費電力を実行ごとに報告する仕組みも作る・NSF助成 約135万ドル(オハイオ州立大)

OHIO STATE UNIVERSITY, THE オハイオ州 開始 2026年8月

現在のエクサスケールHPCとAIのシステムは強力な加速器と多コアプロセッサを用い、大きな電力を消費する。これまでの研究は電力制約の下で最大性能を得ることに集中してきたが、性能の低下を最小限に抑えつつ消費エネルギーを減らせるかは未解決の課題である。この事業はMPIライブラリの側でその交換を可能にする設計を進める。

助成の概要(一次情報)

  • 交付額約134.9万ドル($1,348,501)
  • 受給機関OHIO STATE UNIVERSITY, THE(オハイオ州)
  • プログラムSoftware Institutes
  • 期間2026-08-01 〜 2029-07-31
  • 資金提供米国科学財団(NSF) / NSF

要点

  • エクサスケールのHPCとAIのシステムが大きな電力を消費するなか、性能低下を最小限に抑えつつエネルギー消費を減らせるかという未解決の課題に取り組む。
  • 必要な3点として、電力と性能の交換を実現する次世代MPIライブラリの設計、実行ごとのエネルギー消費の報告、交換モードを指定できる使いやすい仕組みが挙げられている。
  • これまでの研究は電力制約下での最大性能を目指してきたが、この事業は速さとエネルギーの交換比率を利用者が選べるようにすることを目標にする。
  • 手を入れる対象はMVAPICH MPIライブラリと通信ランタイム。大規模計算ではノード間のデータのやり取りが電力と時間を使う。
  • 想定総額と義務付け額はいずれも1,348,501ドル、期間は2026年8月1日から2029年7月31日まで。
  • 交換の余地を作る、使った電力を実行ごとに見せる、モードを選べるようにする、の三つが順に依存している。

1「最速」でなく「選べる」を目標にする

これまでの研究は、与えられた電力の枠のなかで最大の性能を出すことを目指してきた。この事業が置き換えようとしているのは、その前提である。性能をわずかに落とすことを許せば、消費エネルギーはどれだけ減らせるのか。速さを最大化するのではなく、速さとエネルギーの交換比率を利用者が選べるようにすることを目標にしている。

計算資源の制約が電力そのものになりつつある状況で、何を最適化の対象にするかが変わってきていることの表れといえる。

2使った電力が見えないという問題

挙げられている3つの要件のうち2つ目は、アプリケーションの実行ごとにエネルギー消費を利用者へ報告することである。裏を返せば、いまは自分の計算がどれだけ電力を使ったのか、利用者に返っていないということになる。見えないものは減らせない。速さは実行時間として誰にでも分かるが、電力は測って伝える仕組みがなければ意識されない。

3つ目の要件が、交換のモードを利用者が指定できる使いやすい仕組みとされているのも、選択肢を実際に使える形にしなければ意味がないという判断である。

3通信ライブラリという場所

手を入れる対象はMPIライブラリと通信ランタイムである。大規模計算では、計算そのものより、多数のノードのあいだでデータをやり取りする部分が電力と時間を使う。記録が挙げている具体的な設計対象には、転送プロトコル、実行中の圧縮、非連続な転送、負荷の偏りへの対応が並ぶ。

アプリケーションを書き換えるのではなく、その下で動く共通の層を変えることで、多くの計算に一度に効かせる形になっている。2026年8月31日時点で当サイトが保持するNSF助成120件67種類のプログラムに分かれており、この事業が属するSoftware Institutes は研究用ソフトウェアの基盤を対象とする枠組みにあたる。

4三つの要件が一続きになっている

この事業が挙げる要件は三つで、それぞれ別々の改良ではなく、順に依存しています。交換の余地を作り、使った量を見せ、選べるようにする——どれか一つを欠くと、残りが使われません。

  1. 1交換の余地を作る性能をわずかに落とすことを許せばエネルギーがどれだけ減るのか、その比率を設計で扱えるようにする
  2. 2使った電力を見せるアプリケーションの実行ごとに消費エネルギーを利用者へ報告する。見えないものは減らせない
  3. 3利用者が選べるようにする交換のモードを指定できる使いやすい仕組みを用意し、選択肢を実際に使える形にする

手を入れる対象がMPIライブラリと通信ランタイムであることも、この設計に合っています。大規模計算では、計算そのものよりノード間のやり取りが電力と時間を使うからです。アプリケーションを書き換えず、その下の共通の層を変えることで、多くの計算に一度に効かせる形になっています。

なぜ重要か

計算資源の制約が電力そのものになると、最適化の目標が速さから交換比率へ移る。使った電力が実行ごとに見えなければ、減らす判断もできない。共通のライブラリ層に手を入れる方法は、個々のアプリケーションを書き換えずに広く効かせるやり方として参照できる。

よくある質問(FAQ)

なぜ性能を落とすことを考えるのですか?
記録は、性能低下を最小限に抑えながら低いエネルギー消費で実行できるかを未解決の課題として挙げています。速さの最大化ではなく交換比率を選べるようにすることが目標です。
なぜエネルギー消費を報告する必要があるのですか?
記録が必要な3点の一つとして挙げています。実行時間と違い、電力は測って伝える仕組みがなければ利用者に見えません。
なぜMPIライブラリなのですか?
大規模計算ではノード間のデータのやり取りが電力と時間を使うためです。アプリケーションでなく共通の層を変えることで、多くの計算に一度に効かせる形になります。

出典(一次情報)

出典:NSF Award Search(米国科学財団・パブリックドメイン)。金額は交付額(obligated)。個人情報保護のため研究代表者名は扱っていません。

#NSF#助成#AI#HPC#省エネルギー
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